2023 Fiscal Year Annual Research Report
アストロサイトのエンドサイトーシス異常からの薬剤性錐体外路症状の解明と予防法確立
Project/Area Number |
21K06610
|
Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
山本 直樹 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (90393157)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 錐体外路障害 / エンドサイトーシス / オートファジー / アストロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢者の処方薬剤数は、他科受診等に伴い増加している副作用の一つである薬剤性錐体外路症状(DI-EPS)に注目した。DI-EPSを誘発するさまざま薬剤を初代培養アストロサイトに投与し、その後のアストロサイトのエンドサイトーシス異常とDI-EPSとの因果関係を明らかにする。また、その因果関係に基づいた治療・予防法を見出し、臨床応用の足がかりを築くために以下の検討を行った。一方、野生型マウスに、DI-EPSを誘発する薬剤を脳内投与するための準備を開始・検討を行ったが、薬剤が高用量であるため動物への負担が大きく難航している。 1.古くから副作用にDI-EPSを誘発することが知られているハロペリドールは、以前の検討において、アストロサイトに特異な形態変化と共に、σ1受容体を介したエンドサイトーシス異常を誘発することを報告している。DI-EPSを誘発することが報告されているアルツハイマー病治療薬であるドネペジルを用いた実験で同様の結果が得られた。また、ドネペジルとハロペリドールで処理したアストロサイトの培養液を用いて、初代培養神経細胞に処理することで様々な影響が出ることを確認した。 2.上記1.の検討の中で、ハロペリドールはσ1受容体のアンタゴニストであるのに対し、ドネペジルはσ1受容体のアゴニストであるにもかかわらず、σ1受容体のアゴニストにより上記1.の結果が抑制された。現在、この矛盾についてより詳細に検討したところ、高用量のドネペジルにはσ1受容体に対するアンタゴニスト作用を有していることが確認できた。 3.その他のDI-EPSを誘発する薬剤を用いた検討において、上記1.のハロペリドールやドネペジルと同様の結果がレセルピンにおいても得られた。一方で、バルプロ酸およびタンドスピロンでは同様の結果が得られなかった。
|