2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of new Na,K-ATPase inhibitor and the study of its reaction mechanism
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21K06611
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 邦明 北海道大学, 歯学研究院, 名誉教授 (40133748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有澤 光弘 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (40312962)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Na,K-ATPase / 阻害薬 / aplysiallene / laurenidificin / サブタイプ選択的阻害作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
Na,K-ATPaseの精製:ラットの脳からPostらの方法に従ってNa,K-ATPaseを部分精製した。具体的には、脳のホモジェネートを作成したのち、2段階の遠心分離操作でミクロソーム分画を調整した。ラウリル硫酸ナトリウムで可溶化後に、グリセロールの密度勾配遠心を行って、Na,K-ATPaseの豊富な分画を回収した。同様の方法で腎臓と心臓のNa,K-ATPaseを精製できること、及び得られたNa,K-ATPaseを使用して阻害薬の作用を検討できることから、研究を進めるための最初の重要なステップを確立した。 OuabainのNa,K-ATPase活性に対する阻害作用:ATPの加水分解により生じた無機リンの量をChifflet法で定量して、精製したNa,K-ATPaseの活性を測定した。各種濃度のouabainを添加してNa,K-ATPase活性を測定し、50%阻害濃度(IC50)をHill plotを行って計算した。今後、各種阻害剤を評価する上で、必要なステップを確立した。 細胞培養の系の立ち上げ:細胞培養に必要な備品と消耗品を購入して、研究室内で細胞培養を行う準備を行った。Aplysiallene及びlaurenidificin誘導体の細胞毒性を検討するために必要な細胞培養を行うことが可能になった。 研究分担者はaplysiallene及びlaurenidificin誘導体の合成を進めた。誘導体の溶液を活性測定に使用するために、研究代表者はその一部を使用して、これら誘導体の安定性と保管方法を検討した。また、新規Na,K-ATPase阻害薬の候補として、Na,K-ATPaseと反応機構が類似したH,K-ATPase阻害薬の化学合成を開始し、まもなく合成終了予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルス感染による研究活動の制約と移動の制約により大きな影響を受けた。2021年4月の科研費採択後の研究立ち上げの時期が第4波にあたり、研究室への出入りや滞在時間に自粛の配慮が必要になり立ち上げが遅れた。その後第5波でも研究代表者及び研究分担者それぞれの研究室において同様の影響があった。また、研究代表者と研究分担者が北海道大学と大阪大学で離れているため、旅行の自粛もあり直接的な打ち合わせを行うことが困難であった。第5波のあと10月から12月までは順調でほぼ制約がなく研究を進めることができたが、2022年に入り第6波で再び研究活動が制約された。現在は、コロナウイルス感染下であっても、注意しながら研究活動を行える状況なので、今後研究の進展を加速したい。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の研究活動の遅れはコロナウイルス感染の影響によるものであり、今後の研究を申請した研究計画に沿って行うことに、変わりはない。 研究代表者はすでに、ラットの脳からのNa,K-ATPaseの精製と活性に対するouabainの作用の解析を終えているので、サブタイプ選択性を確認する標品としてラットの腎臓と心臓からのNa,K-ATPaseの精製を行い、活性に対するouabainの作用を検討する。また、細胞を培養する準備ができているので実際に細胞レベルでの阻害剤の作用を検討する系を確立する。 研究分担者は、初期の計画通りに新規の(-)-aplysialleneと (+)-laurenidificin誘導体の合成を進める。また、合成過程を改善して大量合成法の開発を試みる。研究計画の段階では、有望な新規のNa,K-ATPase阻害薬として(-)-aplysialleneと (+)-laurenidificin誘導体の合成のみを計画していたが、その後の研究の進展により、Na,K-ATPaseと反応機構が類似したH,K-ATPaseの阻害薬も有望であると考え現在化学合成を行っている。 研究分担者による合成品が得られたら、研究代表者はNa,K-ATPase活性及び培養細胞に対する作用を解析する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染による研究活動の制約と移動の制約が大きな要因である。研究の進展が遅れたため、消耗品の使用額が減少した。研究代表者の場合は、高額になる細胞培養関連の消耗品の購入が減少したことが大きく影響した。また、旅行の自粛により研究打ち合わせの旅費を使用しなかったことも影響した。 現在は、コロナ感染の状況は必ずしも改善されていないが、社会状況の変化もあり、注意しながら研究活動を行えるので、消耗品を中心とした研究経費が必要となる。また、研究打ち合わせや発表のための旅費が必要になると見込まれ、未使用額が多い状況は改善される。
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