2022 Fiscal Year Research-status Report
新規メカニズムを有する抗癌剤創薬を指向した上皮間葉転換誘導細胞増殖阻害物質の創出
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21K06625
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
松尾 洋孝 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター, 主任研究員 (70613694)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 上皮間葉転換 / 植物エキスライブラリー / MDCK細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に実施したスクリーニングにより見出された活性を示したエキスのうち、ウコン、ヨツバヒヨドリ、ガンクビソウ、キササゲについて活性物質の取得を行なった。活性を指標に精製した結果、ウコンからは3種の物質を取得した。構造解析の結果、既知物質の(S)-tumerone、curlone、(E)-a-atlantoneと同定した。これらの活性評価の結果、2,000 cells/wellの細胞濃度において,(S)-tumeroneは12.5 ug/mL、curloneは3.125 ug/mL、(E)-α-atlantoneは6.25 ug/mLの濃度で活性を示した。20,000 cells/wellの細胞濃度ではいずれの化合物も活性は示さなかった。この原因として、試験時における濃度が足りなかったと推定している。しかしながら、いずれの物質もセスキテルペン類のため、エバポレーターで濃縮時に蒸発してしまい、今後の試験、開発には不向きな物質であると判断した。ヨツバヒヨドリからは1種の物質を取得した。構造解析の結果、既知物質のeupatoriopicrinと同定した。活性を評価した結果、20,000 cells/wellのときは50 ug/mLで、2,000 cells/wellのときは5.5および0.6 ug/mLの濃度で活性を示した。ガンクビソウからは4種の物質をそれぞれ活性物質として取得した。これらのうち、2種の物質については構造解析が終了しており、新規物質であることが分かっている。残りの物質については現在構造解析中である。キササゲからは現在数種の物質が得られており、今後構造解析および活性評価を行なっていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画では、活性を示したエキスから活性物質の取得をメインとしていた。今回、4種の植物エキスから10種以上の活性物質を取得することができた。また、その中には新規物質も含まれていた。そのため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は引き続き活性を示した植物エキスからの活性物質の取得を行いつつ、得られた物質の作用メカニズムについて検討を行う。具体的には、遺伝子の網羅的解析を行い、作用メカニズムの糸口を探る。本活性に寄与している遺伝子が推定された場合、リアルタイムPCRやウェスタンブロット法によりその遺伝子発現を精査する。必要に応じてノックアウトや過剰発現を行い、寄与を明らかにする予定である。
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