2022 Fiscal Year Research-status Report
スギ花粉β-グルカンの免疫学的緒活性とアレルギー疾患との関連性に関する研究
Project/Area Number |
21K06634
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
安達 禎之 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (60222634)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スギ花粉症 / (1→3)-β-D-グルカン / デクチン-1 / 自然免疫 / アジュバント / 獲得免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.花粉BGとデクチン-1との結合におけるアンタゴニストの解析 デクチン-1アンタゴニストを探索する目的で、化合物ライブラリーのスクリーニングを行った。2021年度は低分子性化合物ライブラリー10,000種では有意な阻害剤を見出すことができなかったため、2022年度は中分子ライブラリー約9,000種について探索した。その結果、低分子ライブラリーよりもβ-グルカンとデクチン-1の結合阻害活性が高いものが数種類認められたが、デクチン-1中和抗体や低分子性(1→3)-β-D-グルカンの阻害活性に比べると弱く、次の評価系(細胞機能抑制)に適した阻害剤を見出すことができなかった。 2.花粉BGの獲得免疫に対する作用の解析 デクチン-1KOマウス及びWTマウスに対し花粉BGと他家アレルゲンとして卵白アルブミン(OVA)を経鼻あるいは腹腔内に併用投与し、くしゃみや鼻こすり、発赤などの臨床症状の 確認及び鼻腔洗浄液中と血中におけるサイトカイン並びにアレルゲン特異的抗体の測定により臨床的パラメータを評価した。比較対象としてAlumアジュバントを使用した。また、脾臓のリンパ球を培養し、OVA抗原の二次刺激によって放出されたサイトカイン産生をELISAで測定し、リンパ球の活性比較から獲得免疫への影響を解析した。その結果、未分画の花粉粒(JCP)でマウスアレルギーモデルを検討した際にはスギ花粉アレルゲンに対する抗体価やサイトカイン産生促進が認められたが、スギ花粉外殻画分とOVA投与による実験ではAlumアジュバントとOVA投与のような有意な抗体価上昇が認められなかった。これらのことから、β-グルカンを含む花粉外殻は、各々分離した他家アレルゲンタンパク質に対するアジュバント活性は殆ど示せず、タンパク質抗原と花粉外殻が同時に免疫系に認識されることがアレルゲン特異的な獲得免疫誘導に必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
花粉外殻単独のアジュバント活性が想定よりも低いことが考えられたため、投与量の検討や抗原タンパク質との調製法を改良する必要があるなど新たな課題が見出された。 また、中分子化合物ライブラリーからのアンタゴニスト探索においては、デクチンー1中和抗体(mAb)や低分子性β-グルカン以上の阻害活性を持つ化合物を選択するには至らなかった。新たなmAbの作出に予定を変更するか、もしくは新たに他のライブラリーでのスクリーニングを行い新規アンタゴニストを探索することで、不足分を補うこととしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
未解決課題である抗体以外のデクチン-1アンタゴニストの探索については、対象を他のライブラリーに切り替え引き続き行う。 3年目の実験計画に従い、他家アレルゲンに対する花粉外壁の抗体産生アジュバント作用を解析するため、抗原と花粉外殻成分混合物の調製法を改良し、デクチン-1 KO 及び野生型(WT)マウスを用いてin vivoで実験を行い、スギ花粉外壁BG成分の獲得免疫活性化作用を検討する。
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Causes of Carryover |
2021年度に計画した動物実験において、予備実験結果から実験条件の見直しが必要であることが示唆されたため、新たな条件にて実験規模を拡大して2022年度に動物実験を行うために繰越を行った。
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Research Products
(9 results)