2023 Fiscal Year Annual Research Report
糖化タンパク質による神経新生阻害をターゲットとする新規認知症治療薬シード探索研究
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21K06637
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
中嶋 聡一 近畿大学, 薬学総合研究所, 研究員 (50724639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 誠宏 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (20411035)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経新生 / 糖化タンパク質 / 認知症 / オオバゲッキツ / オトメアゼナ / ハス / カシアアウリクラタ / クロバナヒキオコシ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、糖化タンパク質による神経新生阻害に関与する可能性のある細胞内タンパク質の候補ERF、E2F1、CREB1およびそれらのリン酸化体などに結合し、その働きに影響することで神経新生抑制を予防しうる成分を探索した。使用した標的タンパク質はSH-SY5Y細胞から報告者が分離・精製した。研究素材については2年目に着手したオオバゲッキツ葉部およびオトメアゼナ全草の続きに加えて、ハス葉部、カシアアウリクラタ葉部、クロバナヒキオコシ葉部などの成分について検討をおこなった。オオバゲッキツ葉部成分については、特徴成分であるカルバゾール型アルカロイドの一部が2年目の研究成果において有望であったことを踏まえ、過去の研究を参考に細胞毒性を軽減し神経新生を促進する目的でベンジル基を導入した誘導体を改めて合成したものの、優位性の増加には繋がらなかった。オトメアゼナからは特徴成分であるplantainosideBなどのフェニルプロパノイド配糖体について詳細に検討したが、該当化合物の結合性レシオはわずかに有意な程度であった。また、ハスからはアポルフィン型のアルカロイド、カシアアウリクラタからはアントラセノン誘導体、クロバナヒキオコシについてはenmeinやoridoninおよび関連テルペン類などといった特徴成分について検討をおこない、それぞれの結合選択性を比較することでより有意な候補化合物の検出をおこない、わずかに結合性レシオの差が認められた。これらの研究素材に関する知見については今後もより詳細な研究を続けていく予定をしている。また研究期間中には本研究の特徴的手法によってAβオリゴマー選択的結合性物質による抗認知症作用物質を見出すこともできた。これらのことから、本研究の目的とする新たな機序による認知症治療薬のシード開発研究において、一定の知見と成果を得られたと考えられる。
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