2021 Fiscal Year Research-status Report
Structure-activity relationship study of differentiation-inducing molecules that control the life cycle of large algae
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21K06638
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
山本 博文 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (70461366)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 構造活性相関 / 化学合成 / 分化誘導物質 / アサクサノリ |
Outline of Annual Research Achievements |
かつて日本中の沿岸で養殖されていたアサクサノリ(紅藻アマノリ属の一種)は,今や絶滅危惧I種藻類に指定されている。報告者らは、独自の着眼点から,アサクサノリ生活環(生殖/生育サイクル)を好循環させる低分子有機化合物を探索し、最近,光学活性なヒダントイン誘導体がアサクサノリ葉状体に対して効果的な単胞子分化誘導活性を示すことを見出した。本研究は,ほぼ未開拓な領域であるアサクサノリの無性生殖サイクルの解明と実養殖への応用を目指して,まず、単細胞に対して最適な分化誘導活性を示す構造の特定を試みる。当初の計画に従って、種々のヒダントイン誘導体を網羅的かつ系統的に合成し、エナンチオマーを含めて、10種の光学異性体の合成を達成した。当初予定していた末端側鎖にアミド基を有するヒダントイン誘導体の合成も試みたが、シアン酸カリウムを用いてヒダントイン骨格を構築する過程で、アミド部位の加水分解が進行して、カルボン酸を有する誘導体が主生成物になるケースが観察された。この原因については定かではないが、現在、トリチルアミンを再度、縮合する方法や、使用する酸触媒を検討することで、目的物の合成を目指している。また、採取したアサクサノリの形式培養にも既に成功しており、アッセイに必要な葉体切片も準備できている。概ね計画したヒダントイン誘導体の合成は達成できており、順次、培養したアサクサノリ葉体切片に添加することで、分化誘導活性を確認中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、種々のヒダントイン誘導体を網羅的かつ系統的に合成し、10種の化合物を合成できた。これらの化合物の分化誘導活性を確認していくことで、単胞子への分化誘導に必須の構造単位を構造活性相関研究から特定する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、分化誘導物質の最適構造を絞り込んで、無性生殖サイクルに最適な培養条件の探索を中心に研究を進める。既に合成したヒダントイン誘導体群はそれらを使用して構造活性相関研究に着手しており、次年度も当初の予定通り、研究計画にそって実施できると考えている。
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