2022 Fiscal Year Research-status Report
低酸素誘導因子HIFに着目した抗がん剤暴露による日周リズム変動機構の解明
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21K06640
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
岡崎 史泰 第一薬科大学, 薬学部, 講師 (20610348)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日周リズム |
Outline of Annual Research Achievements |
新薬の開発期間を必要とせず、臨床に応用しやすい薬物療法として、投薬時刻を設定することで既存の薬のポテンシャルを引き出す時間薬物療法の分野が発達してきている。日周リズムは、時計遺伝子によって制御されている。がん細胞は活発に細胞分裂を繰り返し無秩序に増殖するが、がん細胞にも時計遺伝子が存在し抗がん剤に対する感受性に日周リズムを与えている。現在までに、薬力学や薬物動態に関わる遺伝子が時計遺伝子によって制御されており、抗がん剤の時間薬物療法が、実験動物のみならず臨床試験においても有効であることが明らかになっている。 しかし、抗がん剤により細胞周期や代謝酵素の日周リズムが変動し、時間薬物療法の有効性が減少することが指摘されている。そのため、抗がん剤投与による日周リズムの変動メカニズムを解明することは時間薬物療法を臨床で使用する上で重要なテーマである。 本研究では、シスチントランスポーターxCTを阻害し酸化ストレスを誘導することで抗腫瘍効果を示すスルファサラジンを暴露させ、日周リズムの変動機構をがん細胞の代謝で重要な役割を担う低酸素誘導因子 (HIF) に着目し解明を行う。 2022年度は、培養細胞でスルファサラジン暴露によりHIF-1α, -1βタンパク質発現量が増大することを確認した(なお、mRNAレベルでは増加しないことを確認している。)。スルファサラジンを5:00または17:00に投薬後のHIF-1α,タンパク質発現量を測定した。その結果、17:00投薬群では未投薬群と同様の日周リズムを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度の新型コロナ及び物流の停滞により、試薬や消耗品(ラテックスグローブやプラスチック製品)等の資材不足による実験停止による遅れがまだ影響している。しかし、2021年度に前払い請求により使用予定の資材を事前に購入したことにより、進捗状況は取り戻しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
スルファサラジン暴露後のHIF-1βの発現量を測定する。 スルファサラジン暴露による日周リズムの賦活化作用の有無を確認する。
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Causes of Carryover |
2021年度に、2020年度から続くコロナ禍および物流の停滞から消耗品等(ラテックスグローブやプラスチック製品)の価格が高騰あるいは販売中止などが確認された。2022年度に購入・使用予定の試薬などについても今後の生産販売状況が不透明になる可能性がある。例年、年度末にはセールが開催されるため、その期間中に購入することで高騰している消耗品等の出費を相殺させることができ、目的の研究遂行を目指した。そのため、2021年度、前倒し請求を行った。この余剰分が現れた結果である。なお、今年度の交付金額と余剰金の合計は採択時の使用予定金額と同等の金額である。
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