2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of therapeutic drug against TNBC based on mechanism of ER induction
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21K06641
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
柴田 智博 信州大学, 医学部, 日本学術振興会特別研究員 (40795986)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | TNBC / ER / 乳癌 / 内分泌治療薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
TCGAデータベースを駆使した検討によりTNBC患者において乳癌のオンコプロテインであるYB-1のリン酸化体の発現が他のサブタイプの乳癌に比べ有意に増加していることを明らかにした。さらに、リン酸化YB-1阻害によりERα発現が上昇しERα標的薬に対する感受性を獲得することを見出している。昨年度までの検討により、TNBC細胞株7株中3株においてERα発現が上昇しERα標的薬に対して感受性が増加することを観察した。さらに、YB-1 siRNAを用いた検討においても、リン酸化YB-1標的薬によりERα発現が誘導された細胞株で、同様にERα発現が上昇することを観察した。これまでの検討により、ERα発現制御メカニズムを明らかにしつつある。 本年度は、YB-1によりERα発現が制御を受ける細胞株を用い以下について明らかにすることができた。 1.リン酸化YB-1標的薬はERαのタンパク質発現を上昇させたが、mRNA発現には影響を与えなかった。さらに、YB-1とERαとの結合がERαのタンパク質の安定性に関与していることから、リン酸化YB-1標的薬のYB-1とERαの結合に与える影響について検討を行った。その結果、リン酸化YB-1標的薬のよりYB-1とERαとの結合が抑制されることが共免疫沈降法を用いた検討により、明らかになった。 2.さらに、マウス同所移植モデルモデルを用いたTNBC腫瘍の治療実験において、リン酸化YB-1標的薬とERα標的薬の併用は相乗的な腫瘍増殖抑制効果を示した。さらに、リン酸化YB-1標的薬により腫瘍内のERα発現が増加することが、免疫組織化学染色法及びウエスタンブロット法により観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の検討において、YB-1のリン酸化体がERαとの結合に重要であり、YB-1-ERαの複合体が形成されることで、ERαのタンパク質の安定性を低下させることを明らかにした。さらに、リン酸化YB-1標的薬はこの複合体形成を阻害しERαの安定性を上昇させ、タンパク質発現を上昇させることを明らかにした。さらに、動物実験においてもリン酸化YB-1標的薬がERαのタンパク質発現を上昇させることを見出した。本年度の検討結果は、TNBC細胞におけるリン酸化YB-1がERα発現を制御するメカニズムを明らかにしつつあり、当初の予定通りの進展を示していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の検討によりリン酸化YB-1がERαのタンパク質の安定性を制御しうることを示すことが出来た。そこで、来年度はERα発現メカニズムをさらに詳細に明らかにするため、YB-1のリン酸化部位の恒常活性方及び不活化体を用い、YB-1のリン酸化がERαとの結合に必要であるか否か、また、ERαのタンパク質の安定性に影響を与えるか否か明らかにする。また、YB-1のリン酸化部位変異体を用い、ERα標的薬の感受性に関与するか否か明らかにする。 さらに、臨床検体やデータベースを駆使した検討により、YB-1及びリン酸化YB-1発現とERα発現との関連を明らかにする。
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Research Products
(4 results)