2021 Fiscal Year Research-status Report
Design of ophthalmic in situ gel incorporating solid nanoparticles for therapy of retinal disease
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21K06656
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
長井 紀章 近畿大学, 薬学部, 准教授 (90411579)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ナノ結晶製剤 / 網膜 / 点眼製剤 / in situゲル / 糖尿病 / バイオアベイラビリティ / ビーズミル / 湿式破砕 |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜疾患は中途失明の主たる原因であるが、現在の点眼薬では眼後部に位置する網膜に十分な薬物量を送達することが難しいのが現状である。本研究ではこれら課題を克服すべく、薬物ナノ結晶を装填したin situゲル化ナノ点眼液の処方設計を検討し、従来点眼液以上の眼内への薬物送達が可能であることを見出した。また、眼疾患モデルを用い、これら点眼製剤の有用性について評価した。
1)In situゲル化ナノ点眼液の処方設計とその物性評価:各種添加物を用いたビーズミル法(乾式・水中破砕)にて、トラニラスト、イルベサルタン、ブリンゾラミド、ニルバジピン等数種のナノ結晶製剤の調製法を確立した。また、メチルセルロースやPluronic F-127及び68を始めとした温度応答性in situゲル基剤をナノ結晶製剤に適用した際の粘性変化や現表面での薬物滞留性を測定することで、ナノ結晶がゲルから持続的に放出できる最適な組成・濃度の設定を行った。 2)In situゲル化ナノ点眼液の眼疾患治療への応用性:In situゲル化ナノ点眼液は従来の溶液型製剤と比較し、薬物眼表面滞留性、角膜透過性及び眼内組織(水晶体や網膜)への薬物移行性が高まることを明らかとした。また、今回調製した製剤の1つであるブリンゾラミドナノ点眼製剤点眼が糖尿病モデル動物の視機能改善に有効であることを明らかとした。
以上、数種のin situゲル化ナノ点眼液を作成し、眼疾患に対する有用性について検討を行った。来年度は、今回作成したin situゲル化ナノ点眼液の薬効について病態モデルを用いて評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トラニラスト、イルベサルタン、ブリンゾラミド、ニルバジピンといった複数の薬物を対象に眼科用in situゲル化ナノ点眼液の調製法を確立した。これらin situゲル化ナノ点眼液は分散性、安定性が高く、高い眼内移行性を示していた。この様に、ナノ結晶化とin situゲル基剤の併用に伴い眼内組織への効果的な薬物供給が可能であることを証明できたことから、本年度の研究が順調に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
In situゲル化ナノ点眼液が高い眼内移行性を示すことを明らかとしたため、さらに適切なin situゲル基剤のPluronicF-127、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどを追加・併用し、点眼時における眼表面滞留性や網膜などの眼内への移行性向上を目指す。また本製剤適用後の眼組織に対する傷害性を測定し、安全であることを明らかとする予定である。さらに、網膜障害モデルに作成したin situゲル化ナノ点眼液を適用し、網膜組織変化や網膜電図の障害がどの程度改善されるのかを評価する。これにより本年度作成したin situゲル化ナノ点眼液の眼後部疾患に対する治療効果を詳細に測定する予定である
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