2022 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of interindividual factors determining the clinical effects of peripherally-acting mu-opioid receptor antagonist under cancer conditions
Project/Area Number |
21K06664
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
川上 純一 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (50272539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 隆文 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 教授 (80422749)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オピオイド誘発性便秘 / がん性疼痛緩和 / 薬物動態 / オピオイド / 薬物代謝酵素 / 薬物輸送担体 / がん悪液質 / 炎症性サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、がん患者を対象にナルデメジンの体内動態、オピオイド誘発性便秘に対する排便効果および有害作用の個人差について、がんの病態進行に伴う生理学的変化や薬物代謝酵素や薬物輸送担体の遺伝子多型に着目し、解析を行った。以下、2022年度における研究の実施状況および研究成果を記載する。 2023年3月末の時点で、58名の患者から同意を得られ、検体を収集している。すでに患者登録が完了し、血中ナルデメジン濃度解析、一部の遺伝子解析や炎症マーカーの測定も終了している。 現時点で明らかになっている結果として、血中ナルデメジン濃度は、CYP3A5*1保有群に比べ、*3/*3群において有意に高値を示した。一方、ABCB1の遺伝子多型間で血中ナルデメジン濃度に違いは認められなかった。CYP3A活性のマーカーである血中4β水酸化コレステロールは血中ナルデメジン濃度と負の相関を示した。がん性炎症を反映する血中IL-6濃度と血中ナルデメジン濃度との間には有意な関係は認められなかったものの、悪液質の進行度に応じて血中ナルデメジン濃度が低下する傾向が認められた。また、栄養状態を反映する血清総タンパク濃度と血中ナルデメジン濃度との間に有意な正の相関が認められた。 以上の結果から、CYP3A5の遺伝子変異が血中ナルデメジン濃度を規定する要因の一つであることが示された。また、がん悪液質の病態下では栄養状態の悪化に伴いナルデメジンの吸収低下による曝露量低下を生じる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に患者登録が完了し、薬物動態解析や一部の遺伝子解析も終了し、得られたデータをもとに患者データの解析が実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
血中ナルデメジン濃度とオピオイド誘発性便秘に対する排便効果との関係、オピオイド誘発性便秘に対する排便効果の個人差要因を明らかにするための関連因子の評価、エピジェネティック因子の解析を進める。
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Causes of Carryover |
血中濃度測定の前処理として、固相抽出を用いなかったため、それに関連する消耗品の購入費が少なく済んだ。また、遺伝子解析に関する試薬も、既に購入してあるものを使用することで節約できたため、少ない費用で解析がすすめられた。また、コロナウイルス感染症流行のため、学会がWEB開催となったため、旅費の支出が少なくなった。 2023年度の研究費については、前年度から開始したオピオイド受容体やカテコール-O-メチル基転移酵素の遺伝子解析に関連した消耗品、オピオイド誘発性便秘に対する排便効果を明らかにするための関連因子の評価、エピジェネティック因子の解析、情報収集のための学会参加に研究費を使用する。
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Research Products
(1 results)