2022 Fiscal Year Research-status Report
バセドウ病眼症ステロイド治療向上のための新しい病態マーカーの確立
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21K06667
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松澤 和彦 鳥取大学, 医学部, 助教 (50631321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 佳子 鳥取大学, 医学部, 講師 (50304209)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バセドウ病眼症 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
バセドウ病眼症のステロイド治療奏功性を予想するバイオマーカー確立のため涙液、血液を検体として研究を遂行している。しかし涙液は安定して採取することが困難であり、血液検体を用いた研究を中心に遂行した。 バセドウ病眼症10例(治療前)、バセドウ病3例、健常者3例の血清を用いて網羅的プロテオーム解析(高深度DIA解析)を実施した。治療開始後6カ月間での臨床的経過からバセドウ病眼症は治療効果あり6例、治療効果なしが4例であった。DEPs(differentially expressed proteins)は効果あり症例でdown regulateされたものが121、up regulateされたものが142同定された。対照であるバセドウ病、健常者とのデータの比較、またこれまでのバセドウ病眼症のバイオマーカーとしての報告やタンパク間相互作用などの観点からより信頼できるDEPsを絞りこんだ。結果、TGF betaを中心としたタンパク間相互作用が強いDEPs、治療奏功性と非常に強く相関がみられ、バセドウ病眼症のバイオマーカー候補として過去に報告があるCarbonic anhydrase1, 2をバイオマーカー候補に絞り込んだ。TGF beta, Progranulin, Vitronectin, Heparanase, Inhibin beta E chain, Carbonicanhydrase1, 2の7化合物をバイオマーカー候補とした。 治療前に奏功性を予期できるバイオマーカーが確立すれば不要な副作用を避け、バセドウ病眼症治療の質は大きく改善する。また、安定的に採取できる血清を検体として確立できれば侵襲性や技術的な問題なく、有用である。 次年度は症例数を増やして上記のバイオマーカー候補を測定し、臨床経過と突合し、検証することでバイオマーカーとして確立することを目標とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
涙液を検体とした研究としては採取上の問題が大きく、当初予定していた症例数を確保することが困難であったが、検体を血清とすることで症例数の問題は解決し、また上記のように候補因子を上げるまでに至っていることは順調な進展と考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記「研究実績の概要」に記載したバイオマーカー候補を多くの症例で検証していく。
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Causes of Carryover |
収集し解析した症例数が当初の予定より少なく次年度使用額が生じた。次年度は幅広い症例に対して検証的な研究であり、研究にとって有効に使用できる計画である。
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