2022 Fiscal Year Research-status Report
肺胞上皮細胞におけるPEPT2介在性輸送および自然免疫応答に及ぼす薬物の影響
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21K06668
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
湯元 良子 広島大学, 医系科学研究科(薬), 特任准教授 (70379915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 幹久 広島大学, 医系科学研究科(薬), 教授 (20211336)
川見 昌史 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (20725775)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺胞上皮細胞 / PEPT2 / 自然免疫応答 / 上皮間葉転換(EMT) / ステロイドホルモン / Na/H exchanger (NHE) |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は吸入ステロイド薬によるPEPT2機能の抑制メカニズムを解明するため、代表的なステロイドホルモンであるデキサメタゾン (DEX) を用いて、PEPT2の駆動力であるプロトンの電気化学的勾配の維持を担っているSodium/Hydrogen Exchanger (NHE) の発現・機能に対するDEXの影響を検討した結果、control細胞において、NHEの駆動力である細胞外Na+の非存在下では、ベル型のpH依存的な取り込みはほとんど消失した。DEXで96時間処置したH441細胞においては、Na+の有無に関わらずベル型のpH依存性はほぼ消失した。さらに、取り込み時にNHE阻害剤であるEIPAを共存させた場合、control細胞でのβ-Ala-Lys-AMCA取り込みはEIPAの共存によって著しく阻害されたが、DEX 処置細胞では阻害効果の低下が認められた。以上の結果より、H441細胞における吸入ステロイド薬によるPEPT2機能の阻害にNHEが関与する可能性が示唆された。 そこで、NHE活性に及ぼすDEXの影響について検討したところ、DEX処置により細胞内pH回復速度の有意な低下が認められた。また、細胞外Na+非存在下およびNHE阻害剤EIPA共存下では細胞内pHの回復は遅く、DEXの効果も消失した。従って、H441細胞においてDEXによってNHE活性が抑制されている可能性が示唆された。 次に、肺胞上皮Ⅱ型細胞において発現が報告されているNHE1およびNHE8の2つのアイソフォームのタンパク質発現に対するDEXの影響を検討したところ、DEX処置によるNHE1およびNHE8タンパク質発現の有意な減少が認められた。以上の結果から、H441細胞においてDEXはNHE1およびNHE8の発現抑制を介してPEPT2機能を阻害する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
吸入ステロイド薬はNHE1およびNHE8の発現を抑制することによってPEPT2の駆動力を減少させ、PEPT2機能を阻害する可能性が示唆され、H441細胞における吸入ステロイド薬によるPEPT2機能阻害機構の一部が解明されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
吸入ステロイド薬によるPEPT2機能の抑制メカニズムにNHE1およびNHE8の発現抑制の関与が示唆されたが、NHEには1から9までのアイソフォームが報告されており、他のアイソフォームの関与についても検討する。 また、ラットおよびマウスにBLMやMTXを気管内投与あるいは腹腔内投与することによって、肺線維症モデル動物を作出し、コントロール動物および肺線維症モデル動物におけるiE-DAP誘発性自然免疫応答を比較検討する予定である。
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Research Products
(16 results)