2023 Fiscal Year Annual Research Report
肺胞上皮細胞におけるPEPT2介在性輸送および自然免疫応答に及ぼす薬物の影響
Project/Area Number |
21K06668
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
湯元 良子 広島大学, 医系科学研究科(薬), 研究員 (70379915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 幹久 安田女子大学, 薬学部, 教授 (20211336)
川見 昌史 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (20725775)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺胞上皮細胞 / PEPT2 / 自然免疫応答 / ステロイドホルモン / NHE |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では肺におけるPEPT2の発現・機能およびPEPT2介在性自然免疫応答に対する肺障害性薬物の影響について検討し、これまでにヒト肺胞上皮細胞H441において吸入ステロイド薬であるブデソニドや代表的なステロイドホルモンであるデキサメタゾン (DEX)がPEPT2機能およびPEPT2・NOD1 依存性の自然免疫応答を著しく抑制することを明らかにした。さらにその阻害機構として、DEX処置によってH441細胞におけるPEPT2の発現は変化せず、PEPT2の駆動力であるプロトンの電気化学的勾配の維持を担っているSodium/Hydrogen Exchanger (NHE)の機能が抑制されることも明らかにした。 今年度はその阻害機構を解明するためNHEの発現について検討した結果、H441 細胞においてNHE1、NHE2、NHE8のmRNA発現量はDEX 処置によって有意な影響を受けなかった。また肺胞上皮Ⅱ型細胞のWhole cell lysate を用いてNHE1およびNHE8のタンパク質発現に対するDEXの影響を検討した結果、いずれのタンパク質発現においてもDEX による有意な影響は認められなかった。一方、H441 細胞から粗膜画分を調製し、細胞膜上でのNHE1、NHE8のタンパク質発現を測定した結果、DEX 処置によってNHE1 およびNHE8のタンパク質発現は有意に減少した。従って、H441 細胞においてDEX はNHE1 および NHE8 の全タンパク質発現には影響を及ぼさないものの、細胞膜上での発現を減少させることによってNHE 活性を抑制する可能性が示唆された。 以上の結果から、吸入ステロイド薬を服用することによって、PEPT2の駆動力であるNHEの肺胞上皮細胞膜上での発現が減少し、PEPT2機能が阻害され、PEPT2介在性自然免疫応答が抑制される可能性が示唆された。
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Research Products
(19 results)