2023 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of the molecular mechanism of membrane-bound mucins in intestinal drug absorption.
Project/Area Number |
21K06695
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
岸本 久直 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (80723600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 慧 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (10625304)
井上 勝央 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (50315892)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Mucin / 脂溶性抗がん剤 / Mucin‐薬物相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、mucin高発現細胞であるヒト肺上皮腺癌由来A549細胞において、内因性に発現するMUC5ACおよびMUC5Bのノックアウト細胞をCRISPR/Cas9システムを用いて樹立し、薬物の感受性に対するノックアウトの影響を評価した。被験薬物には高脂溶性の抗がん剤として6種 (nilotinib, imatinib, afatinib, gefitinib, erlotinib, dasatinib) を選択し、薬物の殺細胞効果に対するMUC5AC / 5Bノックアウトの影響を評価した。その結果、抗がん剤単独では生存率が約100%に維持されていた濃度条件において、ノックアウト細胞では生存率が約40-50%と優位に減少した。同様に、中分子サイズのモデル薬物としてcyclosporin A (CsA) およびpaclitaxel (PAC) を用いて検討を行い、IC50値を算出したところ、Mock細胞に比較してノックアウト細胞で約3分の1に優位に低下し、内因性MUC5ACおよびMUC5B欠損により薬剤感受性が増大したことが示された。さらに、A549細胞 (WT) 由来の培養上清中に含まれるMUC5ACおよびMUC5Bのmucin物性に対するCsAおよびPACの影響を、ショ糖密度勾配遠心法により評価したところ、両mucinの沈降挙動は薬物存在下において顕著に変動し、CsAおよびPACによるmucinの凝集沈殿が認められた。これらの結果から、本研究で用いた抗がん剤およびCsAとPACは、粘液層の主要構成タンパク質であるmucinと相互作用する可能性が見出され、mucinと薬物の相互作用が薬物の細胞内移行性に重要な役割を担うことが示唆された。
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