2021 Fiscal Year Research-status Report
補体第二経路に着目した微小血管傷害発症メカニズムの解明
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21K06696
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
山田 成樹 藤田医科大学, 医学部, 教授 (20719926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 智博 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (40711669)
坪井 直毅 藤田医科大学, 医学部, 教授 (50566958)
高橋 和男 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90631391)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 溶血性尿毒症症候群 / 好中球細胞外トラップ |
Outline of Annual Research Achievements |
血栓性微小血管症(TMA)を評価するため、7週齢C57BL/6J雄性マウスへ志賀毒素(Stx)を腹腔内投与することにより、溶血性尿毒症症候群(HUS)モデルマウスの作製を行った。先行研究を参照し(Suyama K et al., Nephrol Dial Transplant. 2015)、Stxの投与量を調整することにより、致死的血栓症を呈する重症群(sHUS)と尿量減少を呈さない中等症群(mHUS)を作製した。モデル作製後、血清クレアチニン、尿中アルブミン測定および病理組織解析を実施することで、病態モデルの妥当性を評価した。sHUSでは薬剤投与3日目、mHUSでは7日目に非投与群と比較して、明らかな体重減少が認められた。尿タンパクの増加は、mHUSで特に大きく、血清クレアチニンの上昇はsHUSで確認された。ヘマトキシリン・エオジン染色、マッソントリクローム染色後、病理組織解析を行ったところ、両モデル共に血栓形成が確認され、すなわち、TMAが誘導されていることを確認した。上記研究と併行し、致死的血栓症を呈するヒストン投与モデルを作製し、血中の好中球細胞外トラップ(NETs)測定を行った。同モデルにて、NETsの一種であるミエロペルオキシダーゼの上昇が確認された。加えて、C57BL/6J雄性マウスより好中球を単離し、プライミングを行った後、ヒストンと多血小板血漿下でインキュベートしたところ、NETs形成が確認された。また、補体関連分子(C3a, C5a)の上昇も認められた。以上の結果より、血栓性微小血管症発症時のNETs放出に関する新たな知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、プロテオミクス解析は実施できなかったものの、HUSモデルの作製を完了し、モデルの評価も実施した。加えて、当初想定していなかったヒストンと多血小板血漿による刺激を行うことで、NETs形成が促進される知見が得られたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒストン誘発性致死的血栓症モデルにて、ミエロペルオキシダーゼの上昇が認められた。さらに、単離好中球を用いた検討にて、NETs形成が認められたことから、これらの手法を用い、sHUSおよびmHUS群にて、NETs測定を実施する。加えて、補体関連分子の測定、2021年度実施できなかったプロテオミクス解析、抗補体薬による治療実験も実施予定である。
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Causes of Carryover |
発注を行っていた試薬が、生産および配送遅延のため、想定よりも5か月ほど納期を要することが判明し、年度内に未納となった。そのため、同試薬については、次年度に支払いを行うこととなり、繰越金が発生した。
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