2022 Fiscal Year Research-status Report
補体第二経路に着目した微小血管傷害発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
21K06696
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
山田 成樹 藤田医科大学, 医学部, 教授 (20719926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 智博 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (40711669)
坪井 直毅 藤田医科大学, 医学部, 教授 (50566958)
高橋 和男 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90631391)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 血栓性微小血管症 / NETs形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
溶血性尿毒症症候群(HUS)モデル動物にて、NETs測定、プロテオミクス解析、抗補体薬による治療実験、補体関連分子(C3a, C5a)の測定を予定していたが、腎組織解析を再度実施したところ、当初期待していた血管内皮障害は弱く、別の薬物投与による血栓性微小血管症(TMA)モデルを検討した上で、実施することとなった。関連文献を調査したところ、薬剤性TMAが複数報告されているのはゲムシタビンであり、藤田医科大学倫理委員会の承認を得て、ゲムシタビン投与を受けた膀胱がん患者の診療録調査を実施したところ、血小板数低値、ゲムシタビン高用量投与、ヘモグロビン低値がCommon Terminology Criteria for Adverse Events Grade3以上の血小板減少に関与していることが明らかになった。ゲムシタビン投与後の血小板減少リスク因子として同定したヘモグロビン低値は、TMAの所見と一致するため、既報の症例報告と併せて、ゲムシタビン投与による疾患モデル動物の作製が妥当である可能性が示唆された。野生型マウスの好中球を用い、ヒストンと多血小板血漿下でインキュベートしたところ、NETs形成が確認されたことから、補体3型受容体(Mac-1)欠損マウス由来の好中球にて、同様の検討を行ったところ、NETs形成が抑制された。上記成果について、現在論文投稿中である。加えて、他の微小血管傷害モデル動物の作製を行うため、敗血症関連研究の文献調査を行った。その一部の調査結果について、メタ解析を行い、得られた成果を学術誌へ報告した。また、海外の共同研究先より、C3欠損, C4欠損, C5欠損, FactorD欠損, Properdin欠損マウスの組織提供を受けたため、次年度解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HUSモデルの腎組織解析を再度実施したところ、当初期待していた血管内皮障害は弱く、新規モデルの作製を新たに実施することになったものの、新規モデル作製に至る文献調査を行う過程で、論文掲載に至る知見を得ることができた。加えて、海外の共同研究先より補体関連分子欠損マウスの組織提供を受け、ヒストン誘発性組織障害に対する、補体第二経路の関与を検証することができるため、研究全体としてはおおむね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲムシタビン投与後の血小板減少リスク因子として同定したヘモグロビン低値は、TMAと類似の病態を示す血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の所見と一致することから、得られた成果について論文執筆および論文投稿を行い、ゲムシタビン投与によるTTPモデル動物の作製を2023年度に実施予定である。共同研究先にて実施したヒストン誘発性組織障害モデル実験のうち、C3欠損, C4欠損, C5欠損, FactorD欠損, Properdin欠損マウスの組織解析を実施することで、補体第二経路の関与を明らかにし、その後の治療実験に繋げたい。
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Causes of Carryover |
論文掲載料の支払い請求および論文原稿の英文校正料が年度を跨いだため、次年度使用額が発生した。加えて、使用予定試薬が次年度に繰り越し使用となったため。
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Research Products
(2 results)