2023 Fiscal Year Annual Research Report
Novel effective combination chemotherapy using epigenetic modifiers for targeting solid tumors
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21K06699
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
細川 美香 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (70548271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河原 賢一 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (30291470)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 低酸素 / エピジェネティック修飾薬 / 固形がん / 併用療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
固形がんの微小環境として低酸素環境に注目し、エピジェネティック修飾薬を併用することで、低酸素下のがん細胞で減弱した抗がん剤の効果を改善できるか否かを明らかにすることを目的とし以下の知見を得た。低酸素下での抗がん剤の効果低下が顕著であったマウスメラノーマ細胞(B16)においてエピジェネティック修飾薬の前処置により、抗がん剤SN-38の効果を改善できるか検討した。作用機序の異なるエピジェネティック修飾薬の中で、特にヒストンメチル化阻害薬はSN-38の効果を顕著に改善した。低酸素下では、ヒストンメチル化阻害薬の標的となるヒストンメチル化酵素EZH2タンパク発現及び、EZH2によりメチル化を受けるヒストンH3のリジン27トリメチル化(H3K27Me3)レベルが増大していた。そこで、EZH2増大が低酸素によるSN-38への耐性化に関与しているか調べるために、EZH2阻害薬DZNep及び EZH2 siRNA前処置の影響について検討したところ、いずれの場合もSN-38の効果は増大し、H3K27Me3の発現レベルは低下した。また、DZNepとSN-38を併用すると、アポトーシス初期に生じるミトコンドリア膜電位の低下、アポトーシスの増加、活性酸素の増加が観察された。 がん細胞は、低酸素になると同時に細胞外が酸性になることが多い。そこで、がん細胞を酸性環境で培養した際の抗がん剤の効果についても検討した。B16細胞ではオキサリプラチン(L-OHP)の効果は約2倍低下したが、低酸素に比べると軽微であった。この低下したL-OHPの効果はヒストン修飾酵素阻害薬によって改善された。 酸性よりも低酸素の方が抗がん剤の効果が低下しやすく、低下した効果はエピジェネティック修飾の制御によって改善可能であった。以上の知見は、微小環境が変化したがん細胞における抗がん剤の治療効果の改善に有益な情報となる。
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