2021 Fiscal Year Research-status Report
MAPPs解析によるFcRn親和性の変化が抗原提示に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
21K06705
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
鈴木 琢雄 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 主任研究官 (10415466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋井 則貴 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 室長 (20425672)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | FcRn / 抗体医薬品 / 抗原提示 / MAPPs |
Outline of Annual Research Achievements |
抗体医薬品は、そのFc部分が血管内皮細胞等に存在する新生児型Fc受容体(FcRn)と結合し、分解から保護されることで、比較的長い血中半減期を持つことが知られている。FcRnはトランスサイトーシスや抗原提示細胞内の輸送にも関与するとされており、FcRn親和性の違いは血中半減期だけでなく、抗体医薬品の体内分布や抗原提示にも広範な影響を及ぼすと考えられる。近年、FcRn親和性改変抗体や抗体薬物複合体(ADC)等のように、FcRn親和性が従来の抗体医薬品とは異なる、もしくは異なる可能性があるものが多く開発されつつあるため、申請者らはFcRn親和性が抗体医薬品の体内分布に及ぼす影響などを明らかにしてきた。本研究では、MHC-Associated Peptide Proteomics (MAPPs)の手法を用いてFcRn親和性の違いが抗原提示に及ぼす影響について解明する。 本年度は、まずMAPPs解析を行うためのFcRn親和性改変抗体(アダリムマブ改変体)を準備すると共に、ヒトFcRnトランスジェニックマウスでの抗薬物抗体産生などについて追加検討を行った。上記改変抗体の内1種とアダリムマブを使用し、ヒト樹状細胞の処理条件や、MHC class Iもしくはclass IIと結合しているペプチド精製条件、データ解析手法などについて検討した。検討の結果、MHCと結合していると考えられるペプチドが質量分析で同定でき、MHC class IIにおいては特に提示されやすい抗体領域があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MAPPs解析における抗原提示細胞の抗体処理条件、精製条件、データ解析条件などについて検討を行い、MHCと結合していると考えられるペプチドが質量分析で同定できており、順調な進捗であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、さらに試料調製条件の至適化を行いつつ、抗原提示細胞にFcRn親和性を上昇させたアダリムマブ改変体1種、FcRn親和性を減弱したアダリムマブ改変体、コントロールのアダリムマブを取り込ませ、MHCに提示されるペプチドの比較を行う。また、必要に応じて解析する改変体の種類を増やすと共に、抗体が複合体を形成した場合の影響について検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
令和4年度に同一ロットの樹状細胞を必要量購入することが望ましいと考えられたため、一部を次年度使用とした。令和4年度は主に樹状細胞およびその培養関連試薬、抗体発現試薬、質量分析消耗品に研究費を使用する予定である。
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