2021 Fiscal Year Research-status Report
クリニカルシーケンスとPK/PDモデルに基づく分子標的抗がん薬の個別化療法の確立
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21K06708
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊地 正史 東北大学, 薬学研究科, 准教授 (90420025)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | がんクリニカルシーケンス / 分子標的抗がん薬 / PK/PD / Modeling & Simulation / 個別化医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
治療標的遺伝子の変異や患者特性に応じて多様ながん薬物療法が実施されるため、各抗がん薬の血中濃度を効率的に測定するには、複数の抗がん薬を同一の方法で簡便かつ迅速に分析可能な定量法が有用となる。LC/ESI-MS/MSは多成分分離に好適な一方で、物理化学的性質や有効血中濃度域の差が大きい薬物を一斉に分析するには、検出器における信号強度の直線性を確保可能な範囲内に各薬物の定量範囲を収める必要がある。 そこで、効率的なイオン量調節法として、collision energy (CE) を調節するcollision energy defect (CED) に加えて、最適化されたSRM条件を用いた、インソース衝突誘起解離 (IS-CID) 、secondary product ion SRM (s-SRM) 及びisotopologue SRM (i-SRM) の3手法を組み合わせ、幅広い経口分子標的抗がん薬を対象とした一斉定量法の開発を試みた。その結果、チロシンキナーゼ阻害作用を有する20種の経口分子標的抗がん薬とその代謝物について、IS-CID、s-SRM及びi-SRMを組み合わせることで、一斉定量法を構築することができた。分析法バリデーションにおいて、検量線範囲、定量限界、同時再現性及び日差再現性は基準を満たし、検体測定結果も妥当な値であったことから、本手法は幅広い経口分子標的抗がん薬の一斉分析手段として有用であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子標的抗がん薬の簡便かつ迅速な血中濃度一斉測定法の構築とPharmacokinetics(PK)解析は計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
がん種や遺伝子変異毎に抗腫瘍効果や有害事象と相関する分子標的抗がん薬のPKパラメータを精査し、「有効血中濃度域」を解明する。また、NONMEM(ICON public limited company)を用いたM&Sで、小児などのスペシャルポピュレーションも含めて、患者背景に基づく分子標的抗がん薬の「最適な用法・用量」を解明する。
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Research Products
(5 results)