2022 Fiscal Year Research-status Report
細胞増殖因子ポリアミンの生理機能解析とその毒性代謝物アクロレインの除去剤の探索
Project/Area Number |
21K06714
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
柏木 敬子 千葉科学大学, 薬学部, 教授 (80169424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 一衛 株式会社アミンファーマ研究所, その他部局等, 代表取締役 (60089597)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ポリアミン / アクロレイン / 翻訳 / ヒストン修飾 / ヒストン脱メチル化酵素 / アクロレイン除去剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞増殖必須因子であるポリアミン(プトレッシン、スペルミジン、スペルミン)は主に、RNAと相互作用し、細胞増殖・生存率維持に重要な蛋白質の合成を、翻訳レベルで促進する。これら蛋白質をコードする遺伝子群をポリアミンモジュロンと命名した。最近、エピジェネティックコントロールの一つであるヒストンアセチル化酵素中にポリアミンモジュロンを見出し、ポリアミンによる翻訳促進を介する遺伝子発現制御を明らかにした。本研究では「ポリアミンは翻訳を促進することにより遺伝子発現を制御する」という命題を確立するために、ヒストンのメチル化に注目した。ポリアミン減少により、ヒストンのメチル化が増加することより、ヒストン脱メチル化酵素に着目した。検討した12種のうち、ポリアミン減少により、JARID1C、JMJD2A及びUTXの蛋白質発現の有意な減少を見出した。この中で、JMJD2A mRNA中にG-quadruplex構造が存在し、この構造がポリアミンによる翻訳促進に関わることを見出した。現在、さらなる変異mRNAを作製し、ポリアミンによる合成促進メカニズムを検討中である。 アクロレインは、スペルミンの酸化分解により生じ、脳梗塞、アルツハイマー病等の老齢時の組織障害性疾患の増悪因子で、老化物質と考えられる。本研究では、「ポリアミンの代謝物アクロレインをターゲットにした老化防止薬が作れるか?」という学術的問いを掲げ、脳への移行性が良く、副作用が少ないアクロレイン除去物質の探索を進め、N-アセチルシステイン誘導体をはじめとする候補化合物が得られつつあり、更に探索を進める。今回は、食物中の成分であるリジンやタウリンがアクロレイン毒性を軽減することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリアミンによるヒストン脱メチル化酵素合成促進メカニズム解明において、変異mRNA作製により、ポリアミン作用部位の同定が進んでいるため。 また、アクロレイン除去剤の候補も見出されており、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
大幅な研究計画変更は必要とせず、ほぼ計画通りに研究を進める。
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Research Products
(10 results)