2021 Fiscal Year Research-status Report
三次元解析を用いた精路の構造・形成メカニズムの解明
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21K06730
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
仲田 浩規 金沢大学, 医学系, 講師 (80638304)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 精細管 / 精路 / 精巣 / 3D / 三次元再構築 / 精巣索 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本を含む先進国の約15%のカップルが不妊と推計され、その原因の半数は男性側にある。男性側の主な原因は精子が作られる過程(精子形成)の障害であるが、原因が解明されたものは少ない。精巣を含む精子の通り道(精路)の研究の発展には詳細な形態学的情報が不可欠であるが、その詳細な形態や器官形成メカニズムの多くは不明である。本研究の目的は、「精路はどのような三次元構造をしていて、どのように作られるのか」を明らかにすることである。本年度は、実験動物としてマウス・ラットの胎児期精路の詳細を明らかにした。各発生段階のマウス・ラットから摘出した泌尿生殖器系の5μm連続切片を作製し、研究代表者が確立した三次元再構築法により、精路を三次元再構築した。精巣索の本数はマウス・ラットでそれぞれ12.7本・27.8本であった。精巣索1本あたり分岐数がマウス・ラットでそれぞれ1.52箇所・0.30箇所であった。白膜に接しない管の割合がマウス・ラットでそれぞれ6.5%・23.0%であった。マウス・ラットともに、精巣索は頭部側でコイリングが強く、尾部側でコイリングが弱かった。また、精巣索は精巣網側から観察すると、すべて時計回りであった。また、ヒト精路の三次元構造を明らかにするため、進行性前立腺癌で外科的去勢術にて摘出されたヒト試料を用いた。試料は摘出後直ちにブアン液に浸漬した。最適な固定・パラフィンブロック作製プロトコルを検討し、5μm連続切片を作製した。深層学習を用いて、精細管・精巣輸出管・精巣上体管のセグメンテーションの条件検討を行った。次年度以降、三次元再構築し、本数、長さ、分岐、三次元走行、相互関係といった詳細な三次元構造を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験動物としてマウス・ラットの胎児期精路の詳細を明らかにした。また、ヒト精路の三次元構造を明らかにするため最適な固定・パラフィンブロック作製プロトコルを決定し、深層学習を用いたセグメンテーションの予備実験が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト精路を三次元再構築し、本数、長さ、分岐、三次元走行、相互関係といった詳細な三次元構造を明らかにする。また、精細管の規則的な三次元構造が精子形成の開始位置と関係があるかを明らかにする。マウスで精子形成の開始位置が頭部側かつ精巣網側に偏っていることと、精子形成が始まると精細管の長さが20倍以上になることから、精子形成開始とともに頭部側の精細管から始まった伸長に、物理的な制約が加わることで、あとから伸びた尾部側の精細管が下部から頭部側の精細管を取り巻き、全体としてコップを重ねたような立体的な層構造になると考え、「精子形成の開始位置が精細管の規則的な層構造を形成する要因である」という仮説を立てた。この仮説を検証するため、精子形成の 開始位置が偏らないマウス」と一部の精細管でのみ精子形成が開始するマウス」を作製・解析する。
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Causes of Carryover |
本年度は、胎児期およびヒト精路の研究を優先的に行なったため、次年度使用額が生じた。次年度は、精子形成の開始位置を人為的に調整するモデル動物の解析も行い、その消耗品費に助成金を使用する。
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Research Products
(10 results)