2021 Fiscal Year Research-status Report
Contributions of Toll-like receptor-mediated regulations of proliferation and differentiation of subventricular zone neural stem cells on sulcogyrogenesis
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21K06741
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Research Institution | Tsukuba International University |
Principal Investigator |
澤田 和彦 つくば国際大学, 医療保健学部, 教授(移行) (10284324)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大脳皮質 / 脳室下帯 / 神経幹細胞 / basal radial glia / 脳溝 / フェレット / 免疫組織化学 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
発生過程の大脳皮質には脳室下帯が一時的に出現する。ここには神経幹細胞(basal radial glial;bRG)や神経前駆細胞(basal progenitors)が存在し、その後の皮質の急激な拡張においてニューロンの供給源となることが知られている。本研究の目的は、自然免疫に関与する Toll様受容体に着目し、脳機能に関連した大脳皮質の脳溝・脳回の形成および形態的多様性出現について、Toll様受容体を介した神経幹細胞/神経前駆細胞の増殖・維持・分化調節の観点から明らかにすることである。 2021年度はリポポリサッカリド (LPS; 4型Toll様受容体リガン卜)を投与したフェレット仔の脳のサンプリングを行った。5例の妊娠動物から計12例の仔を得た。このうち6例に、6および7日齢(脳溝脳回形成が最も盛んになる直前)にLPS(1 μg/g 体重)を1回ずつ(計2回)皮下投与した。残りの6例は対照とした。また、全ての動物には、LPS投与前(対照では相当する齢)に新生する細胞をEdUで、投与直後(対照では相当する齢)に新生する細胞をBrdUで標識した。LPS投与直後(7日齢)と脳溝脳回の形成が完了する20日齢に各群1~3例の仔動物を灌流固定し、脳を取り出した。7日齢(LPS投与群は1例、対照群は3例)の仔の脳は組織切片とし、切片上でEdUとBrdUの標識、および各種マーカー抗体(Sox2, Pax6, Olig2, Ki67, PH3等)の免疫陽性反応が検出できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回実験に用意した5例の母獣のうち2例が出産後、仔を食殺してしまい、実験に用いる仔動物が12 例しか得られなかった。このため7日齢および20日齢のLPS投与群、対照群として各3例の動物しか確保できなかった。また、7日齢の LPS投与群では1例が、20日齢のLPS投与群では2例が灌流固定の前に死亡したため、解析を進めるに当たって充分な数の動物(各群4例以上)を揃えることができなかった。技術的な面では、7日齢の仔の脳を組織切片とし、切片上でEdUとBrdUの標識、および各種マーカー抗体(Sox2, Pax6, Olig2, Ki67, PH3等)の免疫陽性反応が検出できることを確認した。また、20日齢の固定脳サンプルにおいて、7T-MRI装置を用いて高解像度のT1強調MR画像の取得に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、更に5例の母獣から仔を得て、実験に用いる動物数(各群4例以上)の確保に努める。また、2021年度の実験の問題として 1μg/g 体重のLPS投与では、投与した仔動物6例中3例が灌流固定前に死亡してしまったことが挙げられる。LPSの投与容量は、マウスやラットを用いた過去の研究を参考に設定したが、この容量がフェレット仔に対しては過剰であったと考えられ、今後は投与後の生存率を上げるためにLPSの投与容量を見直す。具体的には、投与容量を半分の0.5 μg/g 体重にし、7日齢および20日齢において各群4例以上の仔動物を確保できるようにする。7日齢の仔の脳は組織切片とし、EdUとBrdUの標識、および各種マーカー抗体(Sox2, Pax6, Olig2, Ki67, PH3等)を用いた免疫染色を行い、発生中の大脳皮質の脳室下帯の内層と外層(iSVZ, oSVZ)において、EdU標識細胞(LPS投与前に新生した細胞)、BrdU標識細胞(LPS投与直後に新生した細胞)の密度を計測する。その後、これら標識細胞の細胞種を同定する。また、Iba1抗体により中枢神経系の免疫細胞であるミクログリアを可視化し、その密度、活性表現型の存在比率、脳室下帯での神経新生との関わり等についても解析する。更に20日齢の仔の脳については、T1強調MR画像をex vivoで取得し、大脳皮質の体積と表面積、脳溝形成頻度(gyrification index)の計測等を行う。
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Causes of Carryover |
2021年度は、用意していた5例の妊娠動物のうち2例が出産後、仔動物を食殺してしまい、実験に必要な数の仔動物が得られなかった。2022年度にも同規模の動物実験を予定している。更に2022年度は、採取した脳について免疫組織化学を用いた定量解析を行うため、これに用いる抗体等の購入のため、使用額を増やす必要があった。
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