2022 Fiscal Year Research-status Report
メラノソーム輸送速度の比較から、分子モーター細胞内運動特性の謎に迫る
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21K06748
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 一穂 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (20642565)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞内物質輸送 / 分子モーター / 黒色素胞細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内の分子や小胞、細胞小器官の多くは、細胞内物質輸送機構によって細胞内での局在が制御されている。輸送を駆動する蛋白質である分子モーターについては、その運動特性やそれに伴う分子の構造変化が多く研究されてきたが、細胞内において、多くの分子モーターがin vitro再構築系より高速に運動する理由はまだよく分かっていない。近年では、細胞内特有の分子混雑状況や非熱的な揺らぎとの関連が指摘されているが、本課題では、魚類と両生類の黒色素胞細胞(melanophore, melanocyte)を用い、メラノソーム輸送速度の違いに着目し、このような分子モーター特性の解明を目指す。 本年度は、標的細胞へ分子モーターを含む輸送制御関連遺伝子(RMU(regulated motor unit))の導入と並行して、ゲノム編集の高効率化を図るため、特異的標的配列への結合を可視化するTALE及びCas9の蛍光プローブを複数作成し、結合能の検証を進めた。また、これらに加え、福島県立医大佐事博士らとの共同研究を進め、キネシン3ファミリーの1種であるKIF1Cのがん細胞中でのinvadopodia形成・伸長における挙動と制御機構を追求した。共同研究ではKIF1Cはc-Srcによるリン酸化を受けてMT結合能が活性化されることが示された。メラノソーム輸送においては、キネシン2の1種であるKIF3がメラノソーム拡散時の初期過程で一過的に活性化することが分かっており、これまでに一部のチロシン残基のリン酸化が重要であることを示唆する結果を得ている。今後は上記で得た知見を参考に、KIF3の運動特性を制御する機構に迫る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね予定通りに進展しており、最終年度までには成果としてまとめることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画予定の通りに推進する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの対策状況を鑑み、予定していた出張の一部を取りやめたため。また海外発注の試薬の納期が長く、当年度に間に合わなかったため。翌年度に予定通り執行する予定。
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