2021 Fiscal Year Research-status Report
Wntシグナル経路を基軸とする気管支随伴リンパ組織-BALT-の顕在化機構の解明
Project/Area Number |
21K06755
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
原口 竜摩 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (00423690)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | BALT / Wntシグナル / 組織系譜解析 / リンパ組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
BALT(bronchus-associated lymphoid tissue)は、吸入性の外来異物に対し気道免疫防御の要として機能するリンパ組織である。しかし、BALTの発生そのものについては、抗原刺激によって肺の細気管支領域で顕在化することが知られるのみであり、分子レベルでの理解は未だ十分でない。また、肺での行き過ぎたBALTの顕在化は一部の気道疾患を著しく難治化させることから、その臨床上の意義についても議論の余地が残っている。これまでに申請者は、BALTの顕在化に伴い活性化するシグナル経路としてWntシグナルを同定するとともに、その過剰な機能亢進がBALTの発生を強力に促進することを見出している。本研究では、①BALTが肺で顕在化する際の分子作用機序、②顕在化したBALTのヒト呼吸器疾患における臨床上の意義や役割を、Wntシグナルを軸とした解析によって明らかにしていく。本年度においては、Wntシグナルが活性化した樹状細胞がBALT肺のリンパ濾胞構築にどのように組み込まれていくのかを、Genetic Lineage Tracing 法 (GLT法)を用いて検討した。その結果、濾胞内に集簇するリンパ球が足場とする領域において、Wntシグナルが活性化した樹状細胞が主体的に分布していることがわかった。微小環境に対する分化マーカーも併用することで、リンパ濾胞構造の組織評価系も構築する。また、BALTの臨床的意義を明らかにするため、BALT肺を背景とした疾患モデルマウスの作成も随時進行させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Genetic Lineage Tracing 法によるWnt活性化細胞のfate mappingや気道疾患マウスモデルの作成など、研究は順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに研究を遂行していく予定である。
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Causes of Carryover |
約30万円の繰越金が生じたが、研究の進捗状況は順調であり、研究計画に大きな変更はない。繰越金は、消耗品の購入に充てる予定である。
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