2023 Fiscal Year Research-status Report
長鎖ノンコーディングRNA Malat1による分枝形態形成の調節機構の解明
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21K06762
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
林 徹 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (10454266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪俣 恵 明海大学, 歯学部, 教授 (40553798)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ノンコーディングRNA / Malat1 |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液を分泌する顎下腺をはじめ、肺、膵臓、腎臓などの器官では、発生中の「かたちづくり」の過程で上皮が枝分かれを繰り返すことが知られています。分枝形態形成と呼ばれるこの「かたちづくり」により、例えば表面積が増大し、細胞内外の物質のやりとりが効率的におこなわれるようになります。マウスの場合、唾液腺の発生は胎生期11日頃に始まります。未成熟な口腔上皮が肥厚し、その先端が分岐し多数の終末部が形成されます。このとき、周囲の間葉組織との間に相互作用が生じます。例えば細胞成長因子FGFが間葉から分泌され、その受容体FGFRが上皮に発現しています。本研究課題では、唾液腺上皮に発現するノンコーディングRNA Malat1により分枝形態形成がどのように調節されているかを調べています。Malat1は核内の核スペックルとよばれる領域に分布しているため、siRNAなどの細胞質で機能するアンチセンス鎖の人工核酸ではMalat1発現を阻害できません。そこで核内のRNaseH依存的にRNAの分解を促すGapmerを使用して唾液腺上皮のMalat1発現を阻害しました。その結果、FGFシグナルに関連した遺伝子群の変動がみられたほか、水チャネルAQP5の遺伝子発現レベルも上昇していることが明らかとなりました。つまり、Malat1はFGFシグナルを介して分枝形態形成を調節していることが示唆されたほか、機能的な分化にも寄与していると考えられました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最終年度である2023年度中にMalat1と複合体を形成する因子を同定することを目指していましたが、計画に遅れが生じており引き続き2024年度も実施することとしました。
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Strategy for Future Research Activity |
Malat1 関連の因子を同定するためにプローブが必要ですが、当初の想定よりプローブデザインに往生しています。一般にノンコーディングRNAは生物種間で保存性が低いことが知られていますが、Malat1全長のできるだけ保存性の高い領域に絞ってデザインをしていきます。
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Causes of Carryover |
今後の研究の推進方策にも記載しましたが、Malat1と複合体を形成する因子の同定に用いる予定です。貴重な予算なので慎重に進めて参ります。
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