2021 Fiscal Year Research-status Report
バソプレシンの分泌調節を担う浸透圧検知性イオンチャネルの同定と機能解析
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21K06778
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
沼田 かお理 (佐藤かお理) 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (60614196)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バソプレシンニューロン / 低浸透圧 / イオンチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、低浸透圧検知性イオンチャネルの同定とその機能解析について研究を進めた。 低浸透圧条件下では、AVP(バソプレシン)ニューロンに隣接したアストロサイトから分泌されたタウリンが、AVPニューロンに発現するタウリン感受性イオンチャネルを活性化し、Clの流出入が起こることが報告されている。これまでの研究により、タウリン存在下では、AVPニューロンが脱分極し、自発的発火活動が抑制されることを明らかにしている。グリシン受容体(GlyR)またはGABAA受容体(GABAAR)の阻害剤存在下では、タウリン存在下によるこれらの脱分極・抑制現象が起こらないことから、タウリンによる膜脱分極と自発的発火活動の抑制には、グリシン受容体(GlyR)とGABAA受容体(GABAAR)の関与が示唆された。そこで本年度は、まずAVPニューロンにおけるGlyRとGABAARの発現について、AVPニューロンのみを10個集めたサンプルを用い、RT-PCR法により確認した。その結果、AVPニューロンにおいて、GABAARのα、β、γタイプが確認された。rhoタイプの発現は、AVPニューロンが局在している視索上核領野のサンプルでは確認できたが、AVPニューロンのみのサンプルでは確認できなかった。GlyRについては、α、β共に発現が確認できた。 また本年度は、形質膜をClを透過させる候補分子に関連した内容「2010年代に分子実体の一部が解明された、酸や低浸透圧で活性化する3種のクロライドチャネル」を総説にまとめた。この論文は、Frontiers in Physiologyの国際雑誌に投稿し、受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画においては、低浸透圧条件下の研究について当初の予定通りに進んでいる。 低浸透圧条件下では、Clの細胞への流出入がキーポイントとなっているが、本年度は、そのClを流入させるClチャネルに関連した研究発表を学会で行う事が出来た。また、Clを透過させる候補分子に関連した内容の総説をまとめ、国際雑誌に投稿し、受理された。 これらの進捗状況を総合的に判断して、おおむね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りに研究を進めていく。 AVPニューロンは、浸透圧が変化すると胞体・樹状突起から脳内にAVPを分泌することが報告されており、脳内に分泌されたAVP自身もAVPニューロンに発現するAVP受容体を介して何かしら影響を与えている可能性も考えられる。AVP受容体と、その下流シグナルにより活性化するイオンチャネルについても検討しながら研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度購入予定だった試薬をキャンペーン期間中に購入したため、予定金額よりも安くなり、次年度使用額が生じた。 次年度使用額については、本年度の途中に値上がりしてしまった、次年度購入予定の試薬の購入費に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)