2023 Fiscal Year Annual Research Report
バソプレシンの分泌調節を担う浸透圧検知性イオンチャネルの同定と機能解析
Project/Area Number |
21K06778
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
沼田 かお理 (佐藤かお理) 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (60614196)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | Clチャネル / 低浸透圧 / LRRC8 |
Outline of Annual Research Achievements |
バソプレシンニューロンの低浸透圧刺激による細胞膨張後に見られる細胞縮小機構には、容積感受性クロライドチャネルVSORが関与している。VSORの分子実体は、LRRC8AをコアとしたLRRC8B,C,D,E4種類の組合せによる6量体で構成されている。この細胞縮小において、ヒト腎臓由来HEK293T細胞では、漢方薬「防已黄耆湯」により、細胞が膨らむことなく細胞縮小が起こることを昨年度に報告した。この現象において、低浸透圧検知性VSORが関与するか否かについて、パッチクランプを用いて解析した。その結果、防已黄耆湯を投与すると、クロライド電流が増大し、VSORの阻害剤であるDIDS、DCPIBにより抑制されることが明らかになった。また、防已黄耆湯で活性化したVSOR電流は、クロライドチャネルCFTRの阻害剤であるCFTR inhibitor-172でも抑制されることが明らかになった。以上の結果から、防已黄耆湯は、VSORのアゴニストである可能性が示唆された。 これまでVOSRのアゴニストは、TNFαやスタウロスポリン等のアポトーシス刺激しか報告されていない。そこで、防已黄耆湯がアポトーシス刺激となり、細胞死を誘発するのか否かについて解析した。防已黄耆湯による24時間の持続投与は、アポトーシス死を誘発せず、むしろ細胞増殖を促進させる結果が得られた。この結果は、細胞を生きたままVSORを活性化させる物質としての初めての発見である。防己黄耆湯には、6つの生薬が含まれており、VSORのアゴニストとして機能している生薬がどれであるのかについてはまだ不明である。今後の課題として引き続き解析する。
|