2022 Fiscal Year Research-status Report
腸腎連関・慢性腎臓病に影響を及ぼす腸内細菌叢と細菌由来代謝産物の探索
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21K06783
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鳥巣 剛弘 九州大学, 大学病院, 講師 (30453228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥巣 久美子 九州大学, 医学研究院, 准教授 (20448434)
梅野 淳嗣 九州大学, 大学病院, 助教 (70621704)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / メタゲノム / CKD |
Outline of Annual Research Achievements |
腸腎連関について細菌叢を介した関連について解析を行っている。腎臓病患者のCKDのステージ別に56名と腎機能正常者21名の合計77名から研究の同意を取得したうえで十二指腸粘膜と便検体を採取した。粘膜関連細菌叢と便中細菌叢の16sメタゲノム網羅的検索を次世代シークエンサーを用いて行った。腎臓病の原因疾患については糖尿病性腎症が16名と最多、次に高血圧性となっている。バイオインフォマティクス解析としてQIIME2とPICRUt2を用いて解析を行っている。CKDstage4/5では腎機能正常者と比べると十二指腸粘膜で有意にα多様性が低下していることが示された。系統分析としても門レベル、種レベルで異なっていることが示された。細菌叢の機能解析としてインドール代謝に関与する菌については有意な差は得られていないが、尿毒素産生菌や尿毒素の分解にかかわるほかの細菌叢について比較を行っている。 また、主テーマとは別に、腸腎連関について今まであまり知られていない腎移植患者では消化性潰瘍の発症が多いことが分かった。通常の消化性潰瘍のリスク因子であるHピロリ菌や慢性胃炎、NSAIDs、CMV感染がない患者でも消化性潰瘍を発症していた。未知のリスクの候補として免疫抑制薬が候補として考えられ、腎移植だけではなく肝移植も含め解析を行ったところ、ミコフェノール酸モチフェルが候補として残った。因果関係について現在検討中である。またこの消化性潰瘍は通常の制酸剤では治療抵抗性であり、臨床的にも重要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた検体採取は終了した。次世代シークエンスのトラブルのため解析に時間がかかったが、何度か条件検討を行い解析も終了できた。バイオインフォマティクス解析を現在行っており、一般的な解析は終了し、多様性の違いを見出している。より細かい解析を複数のツールを用い行っている途中でその結果が待たれる。また予期せぬことに、その過程で腎臓病患者の内視鏡所見を注意深く見直したところ、移植患者は消化性潰瘍の高リスク集団であるという新規の発見もすることができ、論文化することができた(in press)。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、腸腎連関を示すために主テーマである腸内細菌叢のバイオインフォマティクス解析を進めていく。CKD stage4/5のひとと腎機能正常者に腸内細菌叢の多様性に差があることは示されたが、どのようなメカニズムを介して腎機能が腸内細菌に影響があるかまた反対に腸内環境が腎機能にかかわるかについては示すことができていない。バイオインフォマティクスから得られた差がある因子については実験的な解析も進めていきたい。消化性潰瘍と移植の関係についても薬剤の直接作用か細菌叢やPHなどの環境を介してなのかメカニズついても検討を加えていきたい。
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