2023 Fiscal Year Annual Research Report
腸腎連関・慢性腎臓病に影響を及ぼす腸内細菌叢と細菌由来代謝産物の探索
Project/Area Number |
21K06783
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鳥巣 剛弘 九州大学, 大学病院, 講師 (30453228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥巣 久美子 九州大学, 医学研究院, 准教授 (20448434)
梅野 淳嗣 九州大学, 大学病院, 助教 (70621704)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / メタゲノム / CKD / 腎移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎腸連関についてCKD患者における十二指腸の粘膜関連細菌叢と便中細菌叢を解析した。対象はCKDstage5の28名と健常者の21名で、16Sメタゲノム解析を次世代シークエンサーにより行った。QIIME2で細菌叢の構成を解析するとCKDStage5では対象者に比べα多様性が有意に低下し、菌叢解析ではVeillonellaとPrevotella属が減少していることが特徴的であった。PICRUST2を用いて機能予測をすると尿毒素に関連するチロシン代謝とトリプトファン代謝にかかわる細菌がCKD患者では著明に増加していた。このことから十二指腸で産生される尿毒素がCKDのstageと関連していることが示された。 一方便検体ではこれらの差が見られず、便では便秘や内服薬などの様々な影響を受けやすいことが示唆され、また尿毒素の吸収を考えると十二指腸が尿毒素の産生源として重要な臓器であることが考えられ、これまでの一般的な便による研究にも消化管粘膜関連細菌叢による付加価値が与えられると予想された。 また腎移植レシピエントでは6%程度と高頻度に胃十二指腸潰瘍を発症し、通常の治療では難治性であることが示された。肝移植レシピエントも併せて解析を行い胃十二指腸潰瘍が多いことが明らかとなった。多変量解析でもNSAIDsやピロリ菌と同程度のリスクとしてミコフェノール酸モフェチルが候補として考えられた。薬剤による粘膜障害や免疫抑制を介する可能性などが考えられた。 これらの内容は学会にても議論し3報の英文査読論文として公開した。
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