2021 Fiscal Year Research-status Report
In vivo ナノ解析による心筋収縮のリズム調節機構の解明
Project/Area Number |
21K06789
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小比類巻 生 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40548905)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サルコメア / in vivoイメージング / 心筋細胞 / ナノ計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の研究実施計画に沿って、マウスin vivo左心室の心筋細胞内ナノ計測システムに2光路系を導入し、異なる2要素(例:サルコメア動態と細胞内Ca2+濃度)の同時イメージング環境を構築した。 異なる2要素の測定に使用する蛍光試薬の選定を行い、in vivo心臓へ導入する方法の検討を行なった。加えて、Ca2+指示薬と同時に使用するα-ACTN2-TagRFPをin vivo心筋細胞で発現させるため、新規にα-ACTN2-TagRFP発現アデノウイルスベクターの作製を行なった。これにより、α-ACTN2-GCaMPとα-ACTN2-TagRFP、およびCal-520とα-ACTN2-TagRFPの同時イメージングをそれぞれ行う準備が整い、生きたマウスの心臓におけるサルコメア長とCa2+同時イメージングの最適条件を検討することが可能になった。また細胞膜染色試薬CellMaskとCa2+指示薬の組み合わせによって、T管とCa2+動態を同時にイメージングすることも可能になり、現在データを取得中である。 並行して、サルコメアイメージングに必須のZ線の標識効率を上げるため、アデノウイルスベクターでの遺伝子発現法に代わり時期特異的α-ACTN2-AcGFP発現トランスジェニックマウスの作製に着手し、遺伝子を導入する座の選定や遺伝子導入用コンストラクト作製を行なった。令和4年度内にはトランスジェニックマウスを入手できる予定であり、さらなる研究の発展が期待される。 さらに、生きたマウスの心臓におけるサルコメアの同調性の解析方法を確立し、個々のサルコメア間の同調性が心機能を調節していることを発見した。この成果は論文にまとめ、Journal of General Physiology誌に掲載された。研究成果は第99回日本生理学会大会のシンポジウムにて発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度の実験計画に沿って順調に研究を遂行しているため。 マウスin vivo左心室の心筋細胞内ナノ計測システムに2光路系を導入し、異なる2要素(例:サルコメア動態と細胞内Ca2+濃度)の同時イメージング環境を構築した。 異なる2要素の測定に使用する蛍光試薬の選定を行い、in vivo心臓へ導入する方法の検討を行なった。加えて、Ca2+指示薬と同時に使用するα-ACTN2-TagRFPをin vivo心筋細胞で発現させるため、新規にα-ACTN2-TagRFP発現アデノウイルスベクターの作製を行なった。これにより、α-ACTN2-GCaMPとα-ACTN2-TagRFP、およびCal-520とα-ACTN2-TagRFPの同時イメージングをそれぞれ行う準備が整い、生きたマウスの心臓におけるサルコメア長とCa2+同時イメージングの最適条件を検討することが可能になった。また細胞膜染色試薬CellMaskとCa2+指示薬の組み合わせによって、T管とCa2+動態を同時にイメージングすることも可能になり、現在データを取得中である。 並行して、サルコメアイメージングに必須のZ線の標識効率を上げるため、アデノウイルスベクターでの遺伝子発現法に代わり時期特異的α-ACTN2-AcGFP発現トランスジェニックマウスの作製に着手し、遺伝子を導入する座の選定や遺伝子導入用コンストラクト作製を行なった。令和4年度内にはトランスジェニックマウスを入手できる予定であり、さらなる研究の発展が期待される。 さらに、生きたマウスの心臓におけるサルコメアの同調性の解析方法を確立し、個々のサルコメア間の同調性が心機能を調節していることを発見した。この成果は論文にまとめ、Journal of General Physiology誌に掲載された。研究成果は第99回日本生理学会大会のシンポジウムにて発表を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は研究実施計画に従って以下の研究を遂行する予定である。 前年度に開発したサルコメア協調性、Ca2+動態、膜電位のナノレベル解析法を心疾患モデルマウス(異型狭心症、TAC心不全、DCM)に応用し、in vivoにおける正常心筋と病態心筋の間でサルコメア同調性、Ca2+イオン動態、膜電位動態における変調の有無を確認、ナノレベルの情報を抽出し定量的に解析する。前年度に確立した手法を用いて、細胞内局所のサルコメアの動きとCa2+濃度や膜電位との関係に、正常心筋と病態心筋の間で差があるかどうかを調べる。 α-ACTN2-AcGFP KIマウスの作製に成功したあとは、当該KIマウスの心臓を使用し、最も早く確実に心筋のリズムに影響が生じる実験系としてメサコリン投与による異型狭心症、つぎにTAC心不全または心筋梗塞モデルの順で、同様の実験を行う。 さらに代表者らの以前の研究で、DCMモデルマウスの心臓では心筋細胞が~35%拡大していること、介在板-介在板間距離が増加していることを発見しているため、この事実を基に、α-ACTN-AcGFP KIマウス(または心筋症モデルマウスとの交配で得られたヘテロマウス)において、サルコメア動態と膜電位・介在板動態の関係を調査する。具体的には、これらの病態モデルマウスの心筋細胞にFluoVolt膜電位指示薬を用いてイメージングする。In vivoにおける各要素の関係性を抽出し、正常と病態の差を調査する。これらの実験を通して、サルコメア動態、Ca2+濃度、膜電位の各要素間の関係性を解析することにより、心筋症の病態を分子レベルのリズム調整という観点から捉え直し、心疾患モデル動物を用いたin vivo心筋リズム変調の解析を強力に推進する。
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Causes of Carryover |
令和3年度中に作製予定だったα-ACTN2-AcGFP KIマウスの納品が遅れ、年度中にマウス作製費用の支払いが発生しなかったため。繰り越した予算はKIマウスが納品され次第、使用する予定である。
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