2021 Fiscal Year Research-status Report
分子間協働から創出される細胞容積調節能を利用した虚血性壊死からの救済策の開発
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21K06792
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
沼田 朋大 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (20455223)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞容積調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究期間においては、外因性細胞膨大の分子機構の解明と膨大細胞の調節性容積減少(Regulatory Volume Decrease:RVD)活性化による救済法の開発を目指した。 申請者は、そのために以下の検討項目を遂行した。はじめに予備的な実験にて一般的な細胞生理機能の研究に用いられる上皮HeLa細胞株のRVD能について、コールターカウンター法で検討した結果、低浸透圧性の細胞膨大後のRVDにより、30分以内に元の容積へと復帰した。この結果は、以前の研究報告と一致した。次に、RVD能を引き起こすための主要分子であるTRPファミリー、LRRC8ファミリー、カルシウム活性化カリウムチャネルファミリーの遺伝子発現をRT-PCR法で確かめた。さらに、浸透圧性細胞膨大時における前述のそれぞれイオンチャネル活性測定条件にて、機能的発現をパッチクランプ法で評価した。それぞれ、TRPM7、LRRC8ファミリー、IKチャネルが発現していることを確かめた。 外因的な細胞膨大刺激として、低浸透圧の他に虚血や炎症物質による細胞膨大についても検討を行った。それぞれの刺激の際に産生/発生される細胞内ATP, Ca2+, pHの変化についても生化学的な手法で測定した。 外因性細胞膨大を止め、細胞死から救済するためにイオンチャネルや細胞内シグナルのどの過程を標的にするべきか見極めるために、一連の細胞膨大過程とRVD過程における阻害剤や活性化剤の検討を行った。細胞死アッセイによってスクリーニングを行った結果、救済法の手掛かりとなる物質を確認した。 これらの実験結果によって、外因性細胞膨大が引き起こす細胞膨大機構および膨大細胞の救済方法の開発へ順調に進捗をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科研費を申請した後に、異動が決定したため、研究遂行に関して、新しい施設での実験環境の整備と立ち上げを進めている。実験の進捗において実験機器などのいくつもの問題があったが、一つ一つ解決している。次年度は、より一層多くのデータ取得等が望めると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、実験環境の整備とデータの取得を行っていく。 研究結果の取得に基づき、学会や社会に向けて成果をホームページやマスメディアを通じて発信していく。
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Causes of Carryover |
令和3年度にパッチクランプ法にて機能解析を行う予定であったが、異動に伴い、機器の再整備に迫られた。計画を変更し、機器の再セットアップと調整を行うことにしたために未使用額が生じた。このため、次年度の機能解析に未使用額を追加してその経費に充てることとしたい。
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