2023 Fiscal Year Annual Research Report
THIKチャネル遠位C末端領域によるゲート制御機構の分子基盤の解明
Project/Area Number |
21K06793
|
Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
立山 充博 生理学研究所, 分子細胞生理研究領域, 准教授 (30276472)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | イオンチャネル / THIK-1 / 非天然アミノ酸 / 電気生理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「THIKチャネル遠位C末端領域によるゲート制御機構の分子基盤の解明」を目的としたものである。2022年度、紫外線照射によりN=N=N基が活性化し数Å以内の官能基と不可逆的に反応する非天然光クロスリンクアミノ酸 4-azido-phenylalanine (4AzP)を、THIK-1チャネル膜貫通部位の異なる残基へ導入し、各導入チャネルの機能解析を行ったが、ほとんどのコンストラクトが紫外線照射により電流量を変化させた。これは、クロスリンク反応により膜貫通部位での構造変化がもたらされることによると考えられた。そこで、本年度は、これらのコンストラクトの遠位C末端に位置するLeu398にアラニン変異を導入し、紫外線照射による電流変化がどのような影響を受けるかについて調べた。L398A変異は基礎電流密度を増加させ、Gq共役型受容体刺激への反応を減弱させる傾向が認められた。これは、野生型に対するL398A変異の作用と同じものであった。さらに、紫外線照射時による電流変化については、変化量が顕著に減少するコンストラクトや、電流増加が電流減少に転ずる変化を示すコンストラクトが見られた。これらの変化は、遠位C末端に位置するLeu398が膜貫通部位の構造に影響を与え、その活性を制御していることを示すものであった。また、ColabFoldにより予測された構造情報から、C末端が膜貫通ヘリックスの細胞内側と相互作用する可能性も示された。 これら機能解析の結果に、2022年度までの結果も加えると、膜貫通部位の配置に関して多くの情報を得ることができ、今後の構造機能関連についての研究へ大きく寄与しうるものと考えている。研究の進捗は、おおむね順調であった。
|