2023 Fiscal Year Annual Research Report
Significance of ketone body metabolic shift in diabetes and long-term prognosis prediction
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21K06797
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 洋美 千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (30506887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋坂 章博 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (80420206)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | SGLT2阻害薬 / 脂肪細胞 / マクロファージ / 心血管イベントリスク / 糖尿病 / メタボローム / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究でSGLT2阻害薬(SGLT2i)の新たな作用点として想定する脂肪組織への機序解明のため、構成細胞である脂肪細胞およびマクロファージの炎症に対するSGLT2阻害薬の影響を評価した。脂肪細胞を分化誘導後、炎症を惹起し、炎症性/抗炎症性因子の遺伝子発現をRT-qPCRにより評価した。SGLT2iとしてempagliflozin(Empa)と、dapagliflozin(Dapa)を用いた。またキャピラリー電気泳動-飛行時間型質量分析によりメタボローム解析を行った。MTT assayによる毒性試験や先行研究を参考に、SGLT2iの濃度域を10-30 uMに決定した。炎症惹起により炎症性アディポカイン(IL-6)の有意な増加と抗炎症性アディポカイン(adiponectin)の有意な減少を認めた。炎症下のSGLT2i添加は、IL-6の有意な減少とadiponectinの有意な上昇がみられた。メタボロームの変化は、炎症によりPentose phosphate pathway、Glycolysis / Gluconeogenesis、Citrate cycle(TCA cycle)などの糖代謝およびPyrimidine metabolism、Purine metabolismなどの核酸代謝が亢進したが、炎症下のSGLT2i曝露ではこれらの経路が抑制された。一連のSGLT2iの薬理作用をマクロファージでも確認したところ、1オーダー低い濃度域で同様の効果を示した。また、米国BioLINCCで申請したACCORD試験の一部の被験者血清検体のメタボローム解析では、心筋梗塞を起こした患者ではイベントの前後に脂肪細胞やマクロファージの炎症条件下で生じるメタボローム変化と同様の傾向を認めた。ACCORD試験の被験者個別情報の解析は実施中であり、糖尿病患者のCVリスクの病態進行解析を継続している。
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