2023 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄小脳変性症でのPKCリン酸化を介した神経保護機構の解明と新規治療法への応用
Project/Area Number |
21K06801
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
白藤 俊彦 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (30595765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上山 健彦 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 教授 (80346254)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | PKC / リン酸化 / 脊髄小脳変性症 / SCA / 小脳プルキンエ細胞 / PLEKHG4 / VCP |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄小脳変性症(SCA)患者の小脳プルキンエ細胞では共通してProtein kinase C(PKC)リン酸化亢進が起こり、小脳プルキンエ細胞保護的に働くことが報告されている。本研究の目的はSCA患者の小脳プルキンエ細胞で亢進するPKCリン酸化基質やそのシグナル経路を同定し、このシグナル経路をターゲットにしたSCA共通の新規治療法を開発することである。昨年度までにVCP S770、PLEKHG4 S27, S677がPKCのリン酸化部位であることを同定した。 本年度はVCPに焦点を当てて、S770リン酸化がERストレス、アポトーシス(細胞死)等に影響を与えるかを確認した。 1. VCPをノックダウンしてERストレスをthapsigargin, tunicamycinで誘発し、c. caspase7, c. PARPやpolyUbや、ミトコンドリア機能障害マーカーのGDFが増加することを確認した。 2. VCPノックダウンしてsiRNA抵抗性VCPを用いてレスキューの系を確立しようと試みた。残念ながら、レスキューの系の確立が難しく、この方法は断念した。 3. VCP WTとリン酸化変異体をCOS7, HEK293, HeLa細胞に強制発現させてアポトーシス(c. caspase7, cPARP), ER stress (polyUb), ミトコンドリア損傷などをIBで評価した。また、ERストレスを薬品で誘発させる実験も行った。結果はリン酸化欠損変異体(SA)でこれらの評価項目に差はなかった。まとめると、VCP S770リン酸化は、ERストレス、アポトーシス、ミトコンドリア機能などには大きな影響はないことが確認された。VCP S770リン酸化は過去の論文ではATPase活性に関与することが知られていたが、アポトーシス以外の因子に関与して、SCA発症に関連しているのかもしれない。
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