2022 Fiscal Year Research-status Report
かゆみ伝達に対するMRGPRの包括的研究および創薬シーズの探索
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21K06804
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 智大 九州大学, 薬学研究院, 講師 (30645635)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | MRGPR / かゆみ / 化合物スクリーニング / 末梢神経系 / ドラッグリポジショニング / オーファンGPCR / DRG神経 / 肥満細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では多種多様な資材を利用し、各種Mas関連Gタンパク質共役受容体(MRGPR)のかゆみ伝達への役割の解明およびかゆみを鎮める画期的な創薬シーズの探索を進めた。 項目1「神経系に発現するMRGPRA3およびMRGPRC11のかゆみへの関与」の研究課題において、MRGPRC11を活性化する5アミノ酸残基で構成する新たなペプチドを見出した。このペプチドをマウスの背部皮内に投与することで引っ掻き行動を誘発することを確認した。また海洋微生物エキスライブラリー(長崎大学の武田弘資先生からご提供)の計640サンプルの中から、MRGPRC11およびMRGPRX1の機能を阻害する3つの候補サンプルを得られた。さらに複数の慢性掻痒モデル動物のDRG神経におけるMRGPRC11のmRNA発現レベルを評価したところ、接触性皮膚炎モデルマウスの1つにMrgprC11の発現上昇を確認できた。 項目2「肥満細胞や樹状細胞など免疫細胞に発現するMRGPRsのかゆみへの役割」の研究課題では、前年度に引き続き、MRGPRB2およびMRGPRX2の機能を阻害する資材を既承認医薬品や天然資源など計3,431サンプルの中からハイスループットスクリーニング法により探索した。この結果、近年報告のあったazelastineやcepharanthineも含めた計6サンプルにアンタゴニスト作用を確認した。一方でサブスタンスPアナログであるSpantide I(NK1受容体アンタゴニスト)はMRGPRB2、MRGPRA1そしてMRGPRX2に対してはアゴニスト作用を発揮することを明らかにした。 項目3「機能不明なMRGPRのかゆみに対する影響」の研究課題では、13種類のMRGPRsに対してかゆみに関わる神経伝達物質を処置したところ、これまで役割が明らかになっていないMRGPRX(Xは伏字)に作用することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数のMRGPRsに対して、機能を活性化もしくは阻害するいくつかの資材を得られていることや慢性掻痒モデル動物においてMrgprC11 mRNAの発現増加を確認できたことから、本研究課題を紐解くうえで順調に研究が進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度までに発見した各種MRGPRsを制御する低分子化合物、海洋微生物またペプチド等が、各種MRGPRsを発現するDRG神経または肥満細胞等に作用することを確認し、その後、マウスにおけるかゆみ行動への影響を検証する。そしてMRGPRC11に続いて、各種MRGPRsの慢性掻痒モデルにおける発現変化を明らかにし、さらにはアンタゴニスト候補サンプルの鎮痒効果について評価する。
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Causes of Carryover |
R4年度中に評価予定の試薬の納期に遅延が生じたため、若干の次年度使用額が発生した。本試薬が次年度に納品され次第、評価を実施予定である。
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