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2021 Fiscal Year Research-status Report

新規抗うつ薬開発を指向したアストロサイト由来LIFのストレス適応促進作用の証明

Research Project

Project/Area Number 21K06806
Research InstitutionInternational University of Health and Welfare

Principal Investigator

辻 稔  国際医療福祉大学, 薬学部, 教授 (70297307)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 宮川 和也  国際医療福祉大学, 薬学部, 准教授 (10453408)
黒川 和宏  国際医療福祉大学, 薬学部, 講師 (30454846)
高橋 浩平  国際医療福祉大学, 薬学部, 助教 (90846411)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywordsストレス適応 / 白血病阻止因子 / アストロサイト / オリゴデンドロサイト / ミエリン
Outline of Annual Research Achievements

生体は、ストレスに適応して恒常性を維持するための生理機構(ストレス適応機構)を有しており、この機構の障害が様々なストレス性疾患の発症に関係していると考えられる。したがって、ストレス適応に関与する脳機能を考究することは、うつ病をはじめとするストレス性精神疾患の発症要因や予防因子を明らかにし、新規治療薬の開発に向けた礎を築くための重要な課題である。一方近年、白血病阻止因子(LIF)が、脳神経細胞の軸索構成成分であるミエリンの形成を促進することが明らかにされている。また、うつ病などのストレス性精神疾患の発症に、ミエリンの形成障害が関与していることが示唆されている。申請者らは先の研究において、海馬アストロサイトにおいて生成・分泌されるLIFによるミエリン形成がストレス適応の形成において重要な役割を果たしており、この機構の破綻が情動障害発症のリスクとなることを示唆する知見を得ている。2021年度ではこの仮説を実証するために、ストレス適応及び適応障害モデルマウスの海馬における、LIF、アストロサイト、オリゴデンドロサイト前駆細胞及びオリゴデンドロサイト成熟細胞の発現・形態変化を観察した。その結果、ストレス適応マウスでは、アストロサイトの活性化とともにLIFの発現増加が認められた。一方、適応障害モデルマウスではそのような変化は認められず、ミエリン構成タンパク質(MAGおよびMBP)、オリゴデンドロサイト前駆細胞(NG2陽性細胞)並びにオリゴデンドロサイト成熟細胞(CC1陽性細胞)の減少が認められた。これらの知見は、海馬アストロサイトにおけるLIFの生成・分泌不全がオリゴデンドロサイトの分化・成熟を障害し、その結果生じるミエリン形成の低下がストレスへの適応障害に寄与している可能性を示唆するものである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究の目的は、海馬アストロサイトにおいて生成・分泌されるLIFによるミエリン形成がストレス適応の形成において重要な役割を果たしており、この機構の破綻が情動障害発症のリスクとなることを種々の研究手法を用いて多角的に実証し、ストレスに対する恒常性維持に関与する脳内メカニズムの解明と新規うつ病治療薬の開発への応用につなげることである。この目的の達成に向けて、2021年度ではストレス適応及び適応障害モデルマウスの海馬における、LIF、アストロサイト、オリゴデンドロサイト前駆細胞及びオリゴデンドロサイト成熟細胞の発現・形態の変化について検討した。結果として、「研究実績の概要」に記載したとおり、ストレス適応および非適応モデルマウスの海馬における各種タンパク質及び細胞の発現解析で得れた知見より、海馬アストロサイトにおけるLIFの生成・分泌不全によるオリゴデンドロサイトの分化・成熟の障害と、それに続くミエリン形成の低下がストレスへの適応障害に寄与している可能性を示唆する知見を得ることができた。一方、当初予定していた各グリア細胞におけるLIF及びその受容体の局在・発現変化の解析、並びにストレス適応及び適応障害モデルマウスの海馬オリゴデンドロサイト前駆細胞、オリゴデンドロサイト成熟細胞及びミエリンの発現・形態対するLIF中和抗体あるいはLIF局所投与の効果の検討を実施するまでには至らなかった。さらに、マウス海馬由来アストロサイトの初代培養系も確立できなかった。これら当該年度内に実施できなかった研究計画については、次年度における検討課題とした。

Strategy for Future Research Activity

2021年度では、海馬アストロサイトにおいて生成・分泌されるLIFによるオリゴデンドロサイトの分化・成熟およびミエリン形成が、ストレス適応の形成において重要な役割を果たしている可能性を示唆する知見を得ることができた。このことを踏まえ、2022年度では、以下の検討を実施する予定である。
1)ストレス適応及び適応障害モデルマウスの海馬における各グリア細胞におけるLIF及びその受容体の局在・発現変化を解析する。
2)ストレス適応及び適応障害モデルマウスの海馬内にLIF中和抗体あるいはLIFを局所投与し、オリゴデンドロサイト前駆細胞、オリゴデンドロサイト成熟細胞ならびにミエリンの発現・形態変化を観察する。また、ストレス適応能力の変化についても検討する。
3)マウス海馬由来アストロサイトの初代培養系を確立する。また、初代培養アストロサイトから放出されたLIFを含む培養上清をストレス適応障害モデルマウスの海馬内に局所投与し、オリゴデンドロサイト前駆細胞、オリゴデンドロサイト成熟細胞ならびにミエリンの発現・形態変化を観察するとともに、ストレス適応能力の変化を検討する。

Causes of Carryover

2021年度で得られた成果に関する研究については、前年度までに購入した試薬類並びに動物(マウス)より得られた脳組織を用いて実施したため、当該年度における支出は、本研究に関わる成果発表ならびに情報収集のための学会参加費のみであった。また、「現在までの進捗状況」に記載したとおり、2021年度ではコロナ禍の影響もあり、予定していた研究計画の多くを実施できなかった。したがって、これら研究計画の遂行のために見積もっていた各種消耗品(実験動物、抗体、western blot用試薬・消耗品、組織化学的検討用試薬・消耗品、細胞培養用試薬・消耗品など)の費用を次年度に繰り越すこととした。2021年度未検討の課題については2022年度に実施する予定であり、その際に発生する費用に今回繰り越した次年度使用額を充当する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2022 2021

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Activation of 5-HT1A receptor reduces abnormal emotionality in stress-maladaptive mice by alleviating decreased myelin protein in the ventral hippocampus2021

    • Author(s)
      Kurokawa Kazuhiro、Takahashi Kohei、Miyagawa Kazuya、Mochida-Saito Atsumi、Takeda Hiroshi、Tsuji Minoru
    • Journal Title

      Neurochemistry International

      Volume: 151 Pages: 105213~105213

    • DOI

      10.1016/j.neuint.2021.105213

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Short-term exposure to cuprizone impairs the development of adaptation to stress in mice2022

    • Author(s)
      黒川 和宏、髙橋 浩平、宮川 和也、持田(斎藤) 淳美、武田 弘志、辻 稔
    • Organizer
      第95回日本薬理学会年会
  • [Presentation] Brexpiprazole prevents colitis-induced depressive-like behavior by regulating myelination through the activation of ERK1/2-CREB-BDNF-TrkB pathway in the prefrontal cortex2022

    • Author(s)
      高橋 浩平、洪 麗花、黒川 和宏、宮川 和也、持田(斎藤) 淳美、武田 弘志、辻 稔
    • Organizer
      第95回日本薬理学会年会

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Published: 2022-12-28  

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