2021 Fiscal Year Research-status Report
Regulation of tumor growth mediated by pyruvate dehydrogenase PDH
Project/Area Number |
21K06815
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
中山 恒 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10451923)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 代謝制御 / ピルビン酸脱水素酵素PDH / 腫瘍 / 細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、PDHの発現するタイミングが、腫瘍の進展にどのように関連しているのかを明らかにすることを目指して、研究を進めた。これまでの研究において、PDHを構成的にノックダウンすることにより乳がん細胞株のマウスにおける腫瘍形成能が顕著に低下することを明らかにしてきた。そこで、まず、PDHの発現を完全に消失させたPDHノックアウト乳がん細胞株の作製を、CRISPR/Cas9システムを用いて行った。Guide RNAとCas9が発現するベクターを細胞内に導入し、選択培地で選択したところ、PDHを構成する4つのサブユニットのうち、二つのサブユニット(PDHE1α, PDHE1β)がそれぞれノックアウトされた細胞を複数クローン樹立することができた。Guide RNAは一つの遺伝子につき二種類を使用し、いずれのguide RNAも標的とするPDHを高い効率でノックアウトできることが明らかになった。樹立した各クローンについて、PDHの遺伝子配列に変異が導入されていることをシークエンス解析で示し、PDHの発現が消失していることをウェスタンブロットにより確認した。これらのノックアウト細胞の増殖能を計測したところ、PDHE1α, PDHE1βのどちらをノックアウトしても、細胞増殖が抑制されることが明らかになった。さらに、低グルコース培地では、増殖抑制がより顕著に認められた。これらの結果は、これまでに得ているノックダウン細胞を用いた実験データと整合性のあるものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の細胞種でのノックアウト細胞の樹立までが完了し、細胞の性質の評価を終えることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
PDHノックアウト細胞をマウスに移植して、それらの腫瘍形成能を検証する。さらに、ノックアウト細胞にPDHE1α, PDHE1βの発現ベクターを導入して、任意のタイミングでそれらの発現を誘導して、細胞内でPDHの活性を回復させた時に、腫瘍形成能がどのように変化するのかを明らかにする。また、PDHが核内に移行することでどのような役割を果たすのかを、網羅的遺伝子発現解析、相互作用する転写因子の同定実験から明らかにする計画である。
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Causes of Carryover |
学会等のオンライン開催への変更に伴い、成果発表のための旅費が次年度使用額として生じた。次年度の成果発表経費として使用予定である。
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