2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K06818
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
善岡 克次 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (60200937)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 染色体 / 動原体 / 細胞分裂 / 細胞増殖 / 足場タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの多くの研究から、染色体の均等分配機構は分子レベルで明らかにされつつある。しかし、染色体分配に関わる鍵分子のダイナミックな局在変化を制御するメカニズムについては不明な点が多い。本研究では、新規因子 JSAP に焦点を当て、JSAP がどのように染色体安定性を制御しているのか、その分子機構解明を目指している。今年度の研究成果は、以下の通りである。 レンチウイルスベクターを用いて、ヒト正常二倍体不死化RPE1細胞でJSAP1またはJSAP2の発現レベルを上昇させると、異数性細胞の割合が顕著に増加することを見出した。また、遺伝的背景をできる限り均一にするため、Tet-ONシステムによるJSAP2発現誘導系を確立してRPE1細胞を調べた。その結果、レンチウイルスベクターを用いた場合と同様、JSAP2発現亢進により染色体分配の異常が誘導されることが明らかとなった。さらに、紡錘体形成チェックポイント(SAC)において重要な役割を担う分子(MAD2, MPS1など)の動原体局在を免疫染色法により調べた。その結果、JSAP2発現亢進細胞では、前中期の動原体に局在するMAD2のレベルが有意に減少していることを見出した。現在、SAC鍵分子の動原体局在がJSAPとモータータンパク質との相互作用による可能性を検討している。一方、JSAP機能喪失による解析では、JSAP2発現をノックダウン(KD)すると細胞増殖阻害が起こるという予想外の現象が観察された。FACS解析の結果、JSAP2 KD RPE1細胞は主にG1期で停止していることが示唆された。この細胞増殖阻害はJSAP機能喪失による染色体不安定性に起因する可能性が考えられる。現在、目的タンパク質の迅速分解が可能な AID システムの確立に取り組んでおり、今後、このシステムを用いて染色体安定性におけるJSAPの役割を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
JSAP発現亢進が細胞にどのような影響を与えるかを調べ、分裂期での染色体分配異常が高頻度に誘発されることを見出した。また、染色体分配に関わる鍵分子のダイナミックな局在変化において、JSAPが重要な制御因子の1つである可能性を示唆する結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
研究はおおむね順調に進展しており、当初の研究計画に沿って研究を推進する予定である。また、研究計画に大きな変更はなく、研究を遂行する上でも特に問題点はない。
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