2023 Fiscal Year Research-status Report
ASTN1遺伝子変異に起因する脳形成障害の疾患病態解明
Project/Area Number |
21K06819
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中島 光子 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (20541965)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ASTN1 / 脳形成障害 / ゲノムシークエンシング / Astn1ノックインマウス / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
アストロタクチンは、ニューロン - アストログリア相互作用を媒介する脊椎動物特異的膜タンパク質であり、本タンパク質の障害がヒトの脳形成異常との関連が示唆されている。本研究室において脳形成異常を呈する症例において両アレル性ASTN1バリアントが同定されており、本遺伝子の欠損が脳形成の異常をきたす可能性が考えられるが、現在までに追加症例の集積は得られていない。前年度までにゲノム編集技術(CRISPR/Cas9システム)を用いて作成したAstn1ノックインマウスを用いて生存や行動の変化について解析を行ったが、野生型と比較して成長・生存・脳構造において有意な差は認められなかった。また、患者由来細胞を用いてiPS細胞を作成し、神経細胞への分化誘導実験を施行したがニューロスフィアからの増殖および神経分化細胞の分化誘導には至っていない。本年度では、同定されたASTN1バリアントが機能喪失型バリアントであることを証明するために、ASTN1との結合が報告されているCDH2タンパク質に注目し、両者のタンパク質相互作用の変化を検証した。両タンパク質の発現ベクターを作成し、HEK293T細胞株を用いて一過性過剰発現させたところ、ASTN1タンパク質の発現は確認できたものの、CDH2タンパク質の発現が認められなかった。原因として塩基配列内のバリアントあるいはベクタークローニング時における大腸菌内での組換え変えなどが考えられるため。、再度CDH2ベクターの塩基配列の確認および発現細胞株の変更、クローニング用の大腸菌を変更するなどして問題改善を図っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ノックインマウスの評価では有意な結果が得られかったことと、iPS細胞からの神経分化誘導が成功していないことが原因として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ノックインマウスにおいては有意差が認められなかったことから、in vitroでの実験を中心にバリアントが機能喪失型であることを評価する。ASTN1およびその関連タンパク質であるCDH2発現ベクターを作成し、細胞内局在の変化やタンパク質間相互作用の変化を検証する。また、siRNAを用いてASTN1タンパク質の発現を減少させて場合に生じるRNAやタンパク質の発現変動をRNAseqやプロテオミクスの手法を用いて検証する。iPS細胞からの神経分化誘導においては、新たな試薬の使用や手技手法を導入して改善がみられるかを検討する。
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Causes of Carryover |
研究遂行に想定以上に時間を要したため、当初予定されていた実験が行われず研究費の使用計画に変更が生じた。今後は当初の研究内容を一部変更して、新たな手法を用いて研究継続実施する予定である。
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