2021 Fiscal Year Research-status Report
新規修飾法による中和抗体に排除されないAAVベクターの開発と安全性の検討
Project/Area Number |
21K06823
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
平本 貴史 自治医科大学, 医学部, 助教 (00725062)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | AAVベクター / エクソソーム / 遺伝子治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
【本年実施内容の概要】AAVベクターは非病原性ウイルスに由来し、静脈への全身投与によって標的組織へ高効率に遺伝子導入が可能なため、遺伝子治療用ベクターとして期待されている。しかし、約半数の遺伝子治療対象者は、AAVの既感染に伴い治療前より抗AAV中和抗体(中和抗体)を保有しており、AAVベクターを用いた遺伝子治療の治療効果が期待できない。そこで、本研究は、AAVベクター表面を修飾することにより、標的組織への感染効率を上昇させ、また中和抗体を有効に回避可能な修飾AAVベクターを樹立し、その評価を行うことを目的とする。 本年はAAVベクターの表面修飾法について検討を行った。ベクター表面に発現するタンパク質の細胞外ドメインに、肝臓に特異的に発現する抗原と結合可能な受容体を結合し、様々な肝臓特異的修飾AAVベクターを樹立した。樹立したAAVベクターを抗原が発現する細胞株に感染させ、感染効率を検討することで、最適な表面タンパク質-受容体修飾AAVベクターを樹立した。樹立した修飾AAVベクターを抗AAV中和抗体存在下、抗原発現細胞に感染させたところ、中和抗体存在下においても高い感染性を示した。本年の研究結果より、我々の修飾AAVベクターは標的組織である肝臓へのAAVベクターの標的能を上昇させることができ、中和抗体によるAAVベクターの阻害回避が可能であることを示せた。そこで本研究成果を種々の組織に適応拡大させることを目的として、上記の検討事項を参照して一本鎖抗体でAAVベクター表面を修飾したAAVベクターを樹立し、その評価を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時の予定では、本年は修飾AAVベクターの樹立とそのin vitro系での感染効率の評価を目的としていた。我々は、本年において最適なAAVベクターの修飾法を開発し、当初予定通り、細胞系での評価を終え、次年度からの齧歯類を用いた全身投与による生体内の動体解析が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度より、当初の予定通り、実際に齧歯類に樹立した修飾AAVベクターを静脈より全身投与し、標的組織である肝臓を含め主要組織における感染効率を検討する。また、投与後採血を行い、中和抗体の出現と、再投与の可能性について検討を行う。
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Causes of Carryover |
本年は当初予定されていた、修飾AAVベクターの大きさの受託解析を納期の関係で次年度に回したため、次年度使用額分が生じた。次年度では、本年で予定していた受託解析を行うとともに、残りの交付金と請求した助成金でマウスの生体内解析を行う予定である。
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