2021 Fiscal Year Research-status Report
血小板膜におけるスフィンゴミエリンを介したリン脂質露呈制御機構の解明
Project/Area Number |
21K06827
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
谷口 真 金沢医科大学, 総合医学研究所, 講師 (30529433)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スフィンゴミエリン合成酵素 / 血小板 / スフィンゴミエリン / ホスファチジルセリン / スクランブラーゼ / TMEM16F / カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜構成脂質であるスフィンゴミエリン(SM)はリガンド-受容体応答の足場として、細胞増殖、遊走、炎症などのシグナル伝達を制御する。研究代表者は、SM合成酵素(SMS)欠損マウスが血小板減少を呈することを見出した。細胞膜内葉のホスファチジルセリン(PS)が、スクランブラーゼにより外葉に露呈し、PS露呈亢進は貪食促進から血小板減少を引き起こす。しかし、血小板膜のスクランブラーゼとSMの関係性は分かっていない。 本年度は、SMS1欠損マウスで見られる血小板減少の分子メカニズム解明を目指し、解析を行った。SMS1欠損マウス血小板ではSMが減少していると同時に、細胞外葉へのPS露呈が促進していることが見いだされ、実際に脾臓での血小板の貪食が増加し血小板クリアランスが亢進することが血小板減少症に繋がることが示唆された。そこで、尾静脈注射により血小板をビオチンラベルし、経時的に採血後、アビジンと血小板マーカーCD41抗体染色で血小板を染色し、フローサイトメトリーにより血小板のクリアランスを解析したところ、野生型マウスの血小板半減期は62時間であったが、SMS1欠損マウスの血小板半減期は23時間と顕著に短縮されていることからも、SMS1欠損によるPS露呈亢進が血小板クリアランスを促進していることが明らかとなった。また、SMS1欠損では、細胞膜SM減少により、細胞膜のスクランブラーゼTMEM16Fの高分子化が誘導され、細胞外からのカルシウム流入が促進することがPS露呈の亢進に繋がっていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、SMS1欠損マウスでは、細胞膜SM減少からスクランブラーゼTMEM16Fの膜内での高分子化、カルシウム流入増加からPS露呈亢進が血小板クリアランスの促進に繋がり血小板減少症を呈することを見出した。このことから、細胞膜SMの制御により血小板減少をコントロール可能であることが示唆され、2年目が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では、SMS1欠損マウスで見いだされたPS露呈亢進が細胞膜SMにより制御できる可能性が示唆された。これらの結果をもとに、次年度はSMリポソーム補充などにより、SMS1欠損により亢進したPS露呈ならびにマウスの血小板減少が抑制できるを検討していく。
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Causes of Carryover |
本年度は学会発表および論文執筆などに係る支出がなかったため次年度使用額が生じた。次年度の学会発表および論文添削・投稿、または物品等の購入費に充当する予定である。
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Research Products
(2 results)