2021 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanism of nuclear speckle disorders: NKAP-related syndrome as a model
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21K06833
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
泉 幸佑 東京大学, 定量生命科学研究所, 客員准教授 (40383707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白髭 克彦 東京大学, 定量生命科学研究所, 教授 (90273854)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 核スペックル / RNA / 精神運動発達異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
NKAPタンパク機能を明らかにするために、免疫沈降質量解析を用いてNKAP結合タンパクを網羅的に同定した。NKAP結合タンパクとして多くのRNA結合タンパク、スプライス因子、RNAヘリカーゼを同定した。NKAP結合タンパクとしてSONやSRRM2といったスペックル構造因子を同定した。新規NKAP結合タンパクとしてRNA輸送に関わるTREX複合体構成因子, NXF1やXPO1を同定し、NKAPがRNA輸送制御に関わる可能性が示唆された。RNase処理を行ったサンプルでも免疫沈降質量解析を行い、これらNKAP結合タンパクはRNAを介した間接的な結合ではないことを確認している。タンパク質分解除去システムを応用したNKAP-AID細胞を用いて、NKAP除去によるNKAP結合タンパク細胞内分布への影響を調べたところ、多くのNKAP結合タンパクの細胞内分布異常を確認した。これら結果から、NKAPがNKAP結合タンパクの細胞内局在を制御することによりRNA代謝制御に関わっている可能性が示唆された。 さらにNKAP関連症候群と類似する症状を呈する新規精神運動発達異常症候群として、SRRM2遺伝子変異によるSRRM2関連症候群を同定した。臨床症状はNKAP関連症候群と同様に精神運動発達遅滞を主徴とし、筋緊張低下、注意欠陥多動性障害、成長障害等の合併を認めた。SRRM2はNKAP結合因子であり、NKAP除去によりSRRM2細胞内局在異常が引き起こされるため、NKAP変異とSRRM2変異が同様のRNA代謝異常を引き起こし、精神運動発達異常が引き起こされる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NKAP機能解明を目指し、網羅的免疫沈降質量解析を行い、数多くのNKAP結合タンパクを同定した。この結果からNKAPが機能制御に関わっていると考えられるRNA結合タンパクの同定に成功している。さらに新規精神運動発達異常症の原因遺伝子としてSRRM2の同定にも成功している。これらの理由により、本年度の進捗状況は概ね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
NKAPとNKAP結合タンパクがどのように協調的にRNA代謝制御に関わっているかをNKAP-AID細胞・NKAP 関連症候群患者由来細胞を用いて検討する。NKAPがRNA輸送制御に関わる可能性が示唆されたため、核トランスクリプトーム解析と細胞質トランスクリプトーム解析を行い、NKAP異常によるRNA輸送異常の有無を検討する。さらに、NKAP CLIP-seqを行い、NKAPが結合するRNA分子の同定を目指す。我々の実験結果からNKAP関連症候群、ZTTK症候群、SRRM2関連症候群において、共通のRNA代謝制御異常が引き起こされている可能性が示唆されたため、これら症候群に罹患した患者由来細胞を用いて、共通する病態メカニズムの解明を目指す。
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