2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K06843
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 歩 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (80639708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 晶彦 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60201993)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Max / 減数分裂の開始機構 / 体細胞分裂 / MYC / MGA |
Outline of Annual Research Achievements |
減数分裂は有性生殖生物に進化的に保存された特別な細胞分裂様式であり、多細胞生物では次世代に遺伝情報を継承する唯一の細胞である生殖細胞でのみで起こる。生殖細胞の元となる始原生殖細胞や精子幹細胞は体細胞分裂によりその数を増やし、適切なシグナルに応じて減数分裂を開始し、最終的には卵子もしくは精子へと分化する。減数分裂の開始制御機構については、酵母や線虫などのモデル生物では詳しくわかっているものの、それらモデル生物の減数分裂開始に関わるホモログは哺乳類では保存されてないため、哺乳類の減数分裂開始機構はいまだ多くの謎が存在し、種をまたぐ根本的な原理が存在するのかわかっていない。
Max遺伝子はbHLH-zipドメインを持つ転写因子をコードしており、MAXと同様にこのドメインを持つMyc、もしくはMadファミリータンパク質とヘテロ2量体を形成する。MAXはMYCと相互作用すると転写を活性し、一方でMGAと相互作用すると転写を抑制する分子である。以前より我々はMAX/MGAによって形成されたPRC1.6が減数分裂遺伝子の抑制に関わっていることを見出しており、本研究では、MAXが体細胞分裂と減数分裂の両方を一度に調節することで、この2種類の細胞分裂様式の切り替えを制御するという仮説のもと、Maxによる減数分裂抑制が生理的な現象であること、Myc-Max-Mgaネットワークが体細胞分裂から減数分裂への移行の局面においてどのような機能を果たすのかを明らかにすることを目的としている。
当該年度は、遺伝子改変マウスの作製および少数の生殖細胞を用いたクロマチン免疫沈降法(CUT&RUN)の系の導入を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに、Crispr-Cas9を用いてMax上流領域を欠損したマウスは作製済みであるほか、MycEG-2A-MaxEGコンストラクトをROSA26遺伝子座に組み込んだノックインマウスも作製済みであり、Oct4-CreERT2マウスとの交配により、来年度中にはMYCの活性を生殖細胞で過剰発現する実験が可能になると思われる。またMAXタンパク質がゲノムのどこに結合するのかを少数細胞を持ちいたCut&RUNにおいて検出するため、ES細胞およびE11.5の生殖細胞を用いて、最適な条件を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度は、Maxの減数分裂前の生殖細胞のゲノム結合領域を同定するためのCUT&RUNの実験条件を検討した。マーカーとなるHormad1においてはあまり検出感度が高くないものの、検出することに成功した。またMaxの発現量を制御しうるMax上流にあるputative enhancer領域を欠損したマウスを作製し、MAXタンパク質の量を確認したところ、未分化な生殖細胞において特徴的な高レベルのタンパク質の発現が消失していることを確認できた。さらにMyc-Maxの変異体の過剰発現マウスを作製した。このマウスは減数分裂開始におけるMYC/MAXの機能低下の必要性の検討のために、MYC/MAX転写複合体の機能を人工的に維持することができる。PRC1.6としてのMAXの機能はレスキューさせないために、変異型MAXは野生型のMGAと変異型MYCは野生型のMAXと相互作用できないものとなっており、変異型同士でのみMYC/MAX複合体が形成されるようになっている。この変異型MYC/MAXを2Aで繋いだコンストラクトをR26遺伝子座にノックインしたマウスを作製したので、今後はOct4-CreERT2マウスと交配して、生殖細胞のみで変異型MYC/MAX過剰発現できるマウスを作製して、MYC/MAXが減数分裂開始に与える影響を評価したい。
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Causes of Carryover |
当該年度はマウス作製費用を予定していたが、マウス作製に関与する手続きに時間を要して、マウス実験い関わる次世代シーケンス解析費用が持ち越されたため。
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Research Products
(6 results)