2023 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロバブル超音波法を用いた核酸薬経鼻投与による神経変性疾患の新規治療戦略
Project/Area Number |
21K06846
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
木下 千智 帝京大学, 医学部, 講師 (10567085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 晃治 帝京大学, 医学部, 教授 (00420943)
鈴木 亮 帝京大学, 薬学部, 教授 (90384784)
松村 暢子 帝京大学, 医学部, 講師 (30317698)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 核酸薬 / マイクロバブル / ドラッグデリバリー / 脳内送達 / microRNA / 経鼻投与 / 神経保護 / 神経変性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、神経保護作用を呈する核酸薬を効率よく簡便に脳内に送達させる画期的な投与法としてマイクロバブル超音波法を用いた経鼻投与により、未だ根治療法が存在しない神経変性疾患の治療に効果的であるかを明らかにすることである。マウスにおける神経変性疾患モデルを確立し、マイクロバブル超音波法を用いた核酸薬経鼻投与を行うことにより神経変性進行抑制、認知機能低下に対して有効となり得るかについて立証していく。 神経変性疾患に共通の発症要因である酸化ストレスに対し、脳内における防御機構を担う内因性抗酸化物質グルタチオンの量的調節は、神経変性疾患に対する新規治療戦略における鍵となることが判明している。グルタチオン量調節には、膜輸送体EAAC1とその負調節タンパク質GTRAP3-18が不可欠であり、これまでの研究でそれらの発現量は同一のmicroRNAに異なる様式で制御されることを明らかにした。またこのmicroRNAの機能を抑制する核酸薬の投与により、脳における神経保護効果を上昇させることに成功している。 本研究における初期検討では経鼻投与のみでも核酸薬の投与により脳内送達に成功した。しかしながら、脳室内投与やマイクロバブル超音波法を用いた頸動脈投与と比較すると低効率であった。研究期間を通じてマイクロバブル超音波法と経鼻投与を組み合わせた投与法の検討を行い、脳内送達効率が高くなる傾向が示唆された。しかしながら、脳内送達のみの観点からは核酸薬の化学修飾の方がより効果的であり、マイクロバブル超音波法はむしろ脳における局所的投与に有効であることが示唆された。
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