2022 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチドC末端アミド化酵素がIDH変異を伴う悪性腫瘍に及ぼす影響
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21K06849
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
下川 千寿 久留米大学, 医学部, 助教 (20529284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉島 正一 久留米大学, 医学部, 准教授 (30379292)
田中 剛 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主任研究員 (90616575)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)変異 / 2-ヒドロキシグルタル酸(D2HG) / ペプチドC末端アミド化酵素(PAM) / ペプチドC末端水酸化酵素(PHM) / 水酸化ペプチ ド分解酵素(PAL) |
Outline of Annual Research Achievements |
イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)変異は、様々な悪性腫瘍において高頻度にみられる変異である。この変異は機能獲得型であり、変異型IDHは新たに2-ヒドロキシグルタル酸(D2HG)を産生する。一方、ペプチドC末端アミド化酵素(PAM)は、2つのドメイン(ペプチドC末端水酸化酵素(PHM)および水酸化ペプチド分解酵素(PAL))からなる2機能酵素であり、2段階の反応を経て、ペプチドC末端アミド化反応を行う。オキシトシン、バソプレシン、カルシトニン、ニューロペプチドYなどに代表されるペプチドホルモンまたは神経伝達物質として機能するペプチドの約半数は、PAMの働きによりC末端アミノ酸がアミド化されその生物活性を発現する。そのためPAMの機能不全は致死的であり、PAMの生体内での果たす役割は非常に大きい。本研究課題の「問い」は、IDH変異より生成したD2HGがPAMの酵素活性を阻害し、PAMの標的ペプチドのアミド化反応が抑制されることにより、悪性腫瘍の発生とその進行が促進されるという仮説を立証することである。本年度では、本研究の目的1「D2HG存在下におけるPAM活性の速度論的解析」について研究を進め、実際にD2HGがPAMを阻害することを明らかとし、それはPAMの2段階反応の前半の水酸化反応であるPHM反応を阻害することで起こることを明らかとした。それらについて詳細な速度論的解析を行った。さらに、目的3「D2HG結合型PAMの結晶構造解析」について研究を進め、これまで得られていた条件とは異なる条件下においてPAM結晶が生成されることを確認し、それらの結晶に置いてX線照射実験により3A程度の回折点が得られることが確認された。
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