2021 Fiscal Year Annual Research Report
ACVR1変異によるFOP細胞増殖亢進の原因分子の同定と解析
Project/Area Number |
21K06855
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
趙 成珠 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (50778678)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | FOP / iPSC / フレア・アップ |
Outline of Annual Research Achievements |
FOPの初期病態解明には、適切な病態再現系において、フレア・アップを惹起するシグナルを探索することが求められる。しかしそのような研究はこれまでに報告されていない。主たる原因として、フレア・アップ部位に起こる病理変化に参加する細胞種類が多いため、適切な実験系の構築が難しいことが挙げられる。フレア・アップ期の患部では、骨格筋の退縮、炎症性細胞の侵入および線維性細胞の増殖が順次に起こる。軟骨化と骨化の始点となる増殖亢進の線維性細胞の主な由来は間葉系幹細胞 (mesenchymal stem cell, MSC) と考えられる。 申請者は患者由来 iPS 細胞からMSCを誘導し、in vitroの増殖評価系を構築した。この評価系を用いたスクリーニングにより、 FOP細胞のみが過剰に反応する新規リガンドAを同定した。リガンドAの投与がFOPモデルマウスにおいて患部組織の線維性細胞増殖を促進し、異所性骨化に導くことを見出した。その上、無刺激及びリガンドAで刺激した細胞の網羅的な遺伝子解析を行った。FOP iMSCとresFOP iMSCの遺伝子発現変化パータンを比較することにより、リガンドAによるFOP細胞の増殖亢進を引き起こす責任遺伝子の同定を行い、メカニズムの解明に迫っている。また、リガンドAの中和抗体の投与が、FOPモデルマウスの異所性骨量を有意に低下することを確認した。 本研究によって見出したリガンドAは、今まで未解明のFOP初期病態メカニズムの解明や、それを標的とすることで新規治療・予防薬の開発につながることが期待される。
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