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2021 Fiscal Year Research-status Report

合成致死表現型を利用した腫瘍増殖機構の解析

Research Project

Project/Area Number 21K06863
Research InstitutionTokyo University of Technology

Principal Investigator

村上 優子 (渡並優子)  東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (70405174)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords悪性中皮腫 / 合成致死
Outline of Annual Research Achievements

悪性中皮腫は主にアスベスト曝露によって引き起こされる難治性の腫瘍である。現在、日本国内においてアスベストの使用は全面禁止されているが、アスベスト暴露から中皮腫発症まで30から40年かかることから、今後も患者の数は増加すると予測される。悪性中皮腫は早期発見が難しく、診断時に外科的な根治切除は困難であることが多いにもかかわらず、現在も有効な化学療法は確立されていない。悪性中皮腫の原因遺伝子は現在までに報告されているものはいずれもがん抑制遺伝子であり、がん抑制遺伝子を活性化させる薬剤の開発は一般的に困難である。
遺伝学用語で、遺伝子A, B それぞれ単独の遺伝子変異では細胞の生存に影響を及ぼさないが、両者とも変異したときに細胞死を招く場合、その二つの変異は合成致死であるという。遺伝子の一つをがんに特徴的な変異を持つ遺伝子にすることで、合成致死を利用してがん抑制遺伝子変異を持つがんにおいてもがん細胞特異的に死滅させる(副作用が少ない)分子標的薬が開発できると期待できる。
本研究では悪性中皮腫の各原因遺伝子(BAP1変異、LATS2変異、SETDB1変異)に対する合成致死遺伝子を同定し、担がんマウスでの表現型を確認する。さらに、合成致死を誘導する分子機構の解析を行うことで、悪性中皮腫増殖の分子基盤や原因遺伝子/候補遺伝子の腫瘍における機能を明らかにするとともに、新規分子標的薬候補としての評価を行うことを目的として研究を進めている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

着目している原因遺伝子(BAP1変異、LATS2変異、SETDB1変異)のうち、本年度は特にLATS2変異について着目して研究を進めた。
これまでの間、LATS2変異悪性中皮腫株及びLATS2ノックアウト正常中皮細胞株でSMG6をノックダウンすることで合成致死表現型を示すこと、SMG6と同様にTERTをノックダウンしても合成致死表原型を示すことを明らかにしてきた。
本年度は、1)TERTの機能のうち、RNA依存性DNAポリメラーゼの機能が合成致死に重要であることを明らかとした。また、2)LATS2変異悪性中皮腫細胞株Y-MESO-27を用いた担がんマウスにおいて、TERTのRNA依存性DNAポリメラーゼ活性阻害剤であるBIBR1532を投与することで腫瘍の増殖抑制効果を確認した。また、LATS2ノックアウト正常中皮細胞株を用いた担がんマウスにおいて、BIBR1532及びsiSMG6による腫瘍増殖抑制効果も同様に確認した。
概ね当初の研究計画通りであるため、(2)を選択した。

Strategy for Future Research Activity

LATS2変異の研究に関してはこれまでの結果及び2021年度の結果をまとめて2022年度中の論文化を目指す(現在投稿中)。
また、BAP1変異については脱ユビキチン化酵素であるUSP1とチェックポイントキナーゼであるCHK2に着目し研究を進めるが、表現型の再現が弱い場合は元のshRNAライブラリースクリーニングの結果に戻り、新たな候補遺伝子についても検討していきたい。
SETDB1変異に関しては1)スクリーニングとデータ解析から得られた候補遺伝子を個別にノックダウンし、培養細胞での表現型を確認する、2)SETDB1と候補遺伝子が合成致死表現型を示す分子機構を解析する、3)合成致死表現型のマウス個体での表現型を確認する。

Causes of Carryover

2022年1月に入ってからLATS2変異悪性中皮腫についての投稿論文を準備することで担がんマウス実験の進捗がやや遅くなったため次年度使用額が発生した。
翌年度分と合わせ、BAP1変異及びSETDB1変異悪性中皮腫について、細胞レベル及びマウス個体レベルでの解析のために使用していく予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2021

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] BAP1変異悪性中皮腫細胞株におけるCHK2の役割2021

    • Author(s)
      丹下将希、鈴木浩也、三井田孝、関戸好孝、村上(渡並)優子
    • Organizer
      第25回日本がん分子標的治療学会学術集会
  • [Presentation] 鈴木浩也、向井智美、三井田孝、関戸好孝、村上(渡並)優子2021

    • Author(s)
      LATS2変異悪性中皮腫に対する新規合成致死遺伝子を標的とした抗腫瘍活性の包括的評価
    • Organizer
      第25回日本がん分子標的治療学会学術集会
  • [Presentation] Functional analysis of a gene showing a synthetic lethal phenotype for BAP1 mutation in malignant mesothelioma2021

    • Author(s)
      Kirara Kobayashi, Koya Suzuki, Takashi Miida, Yoshitaka Sekido, Yuko Murakami-Tonami
    • Organizer
      第80回日本癌学会学術総会
  • [Presentation] Correlation of FGF13-expression level and enhanced cisplatin resistance in A549 lung cancer cells2021

    • Author(s)
      Shiori Oishi, Nobuki Matsubara, Koya Suzuki, Tomoko Okada, Toru Imamura, Yuko Murakami-Tonami
    • Organizer
      第80回日本癌学会学術総会

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Published: 2022-12-28  

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