2022 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリアtRNA修飾核酸の網羅的測定による新規ミトコンドリア病診断法の確立
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21K06865
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋山 泰利 東北大学, 薬学研究科, 助教 (70635557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊原 敬文 東北大学, 医工学研究科, 特任講師 (60594182)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 修飾核酸 / ミトコンドリア病 / tRNAs |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、(1) ミトコンドリアからのtRNAsの効率的な抽出、(2) ミトコンドリア病患者から樹立したヘテロプラスミーの異なるiPS細胞クローンからの心筋誘導、(3) ミトコンドリアtRNA中の修飾核酸のLC-MS/MSによる一斉定量、の3項目を柱としている。ミトコンドリアtRNAsの抽出に関しては、CCA特異的ライゲーションと、プルダウンを融合した申請者独自の手法で、効率よくtRNAsのみを濃縮することが可能になった。ミトコンドリア分画の調整においても、市販のキットよりゲノムtRNAsのコンタミネーションを少なくし、ミトコンドリアtRNAのみを高効率に抽出する最適な条件を設定した。iPS細胞クローンからの心筋誘導に関しては、現在同一患者由来のiPS細胞で、異常ミトコンドリアの割合が0%と約80%のクローンを用い、いずれもトロポニン陽性率を指標として80%程度の心筋誘導効率が得られている。LC-MS/MSの測定系では、τm5s2U, ms2i6A, τm5U, f5Cといったミトコンドリア特異的な修飾核酸も測定可能となったが、現時点では、感度の問題から検出には大量の細胞を必要とすることが課題となっている。 LC-MS/MSの感度を飛躍的に改善させることは困難なため、心筋への誘導より細胞数を確保しやすい血管平滑筋への誘導を行い、パイロット試験としてミトコンドリアtRNAの修飾核酸のプロファイリングを行なってみることを計画している。 また、並行して行なっている研究において、ストレスにて切断されたtRNA断片が、小胞体ストレス応答などにおいて機能するRNAリガーゼ(RTCB複合体)により修復されること、さらに酸化ストレス下ではRTCBの抑制により修復が抑制されtRNA断片の産生量が増幅することを明らかにし、報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予想していたよりミトコンドリア中のミトコンドリアtRNA特異的な修飾核酸の存在量が少なく、LC-MS/MSの感度の問題で、検出には大量の細胞を必要とすることが現時点での最大の課題である。現実的な細胞量から一斉定量を行うためにはさらなる感度の向上が必要であり、これが進捗を妨げる一番の要因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きLC-MS/MSの感度の向上の検討を進め、検出能の向上を図る予定である。加えてiPS細胞を血管平滑筋に誘導する場合は細胞数の確保が容易であることから、まずはヘテロプラスミーの異なる、同一患者由来のiPS細胞クローンを血管平滑筋に分化させ、ミトコンドリアtRNAs中の修飾核酸の一斉定量を行う予定である。最終的には心筋に分化させた上でプロファイリングを行い、ミトコンドリア病における心筋障害の病態を解明するヒントが得られることを期待している。
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Research Products
(6 results)