2023 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病時の全身性血管機能障害における血小板相互作用の解明と治療応用
Project/Area Number |
21K06878
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
小林 恒雄 星薬科大学, 薬学部, 教授 (90339523)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 血管障害 / 糖尿病 / 血小板 / 血管機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度明らかにした糖尿病時の血小板 MPsの機序に着目し、いくつかの治療薬を慢性投与し、治療薬になる候補を検索した。様々な慢性投与を行った結果、高血圧治療薬、一部腎不全に効果がある非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の慢性投与は、ERK活性、ICAM発現を低下させ、血小板マイクロパーテイクル(MP)種の血中量を低下させ、さらに慢性投与を行った血小板 MP は、内皮細胞への増悪作用、接着が低下することが明らかとなった。この様に糖尿病時の高血圧、Share stress の増加、腎障害がMPの増悪化に影響している可能性が示唆されたため、腎不全型高血圧ラットを作成し、血小板との相互作用の検討を行った。この腎不全高血圧ラットは、腸間膜動脈において内皮機能不全を 誘発する事が示唆され、血小板由来のMPの増悪化に、高血圧や腎不全が関与している可能性が示唆されたが、詳細は明らかではない。また、糖尿病時における血小板の活性化や内皮機能障害の原因として、酸化ストレスはよく知られている。そこで抗酸化効果が高いGinkgolide B の投与を行い、これらの機能が改善するか検討を行った。Ginkgolide Bの慢性投与は、PI3-K/Aktを介するNO 合成、内皮機能を改善し、抗酸化酵素の SOD の活性を上げた。つまり、Ginkgolide Bの慢性投与は、活性酸素を抑制する事によって血小板活性を下げ、糖尿病性内皮機能障害を改善することを示唆する。 以上のことから糖尿病時における 増悪化血小板由来 MPは、活性酸素、ERK活性、ICAM発現、Share stressの増加によって血管内皮機能障害を惹起させることが示唆された。更に、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬や抗酸化薬の慢性投与は、糖尿病性血管障害を改善することを明らかにし、論文 3報、学会発表 9 件報告した。
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