2023 Fiscal Year Research-status Report
イメージサイトメトリーによるインターフェロンγの抗腫瘍効果の解析
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21K06886
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
近藤 智子 (古屋智子) 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (30379979)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | インターフェロンγ / 細胞周期 / 細胞培養 / イメージサイトメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は先行研究においてインターフェロンγが腫瘍細胞に対して細胞増殖抑制効果を示すことを明らかにしてきたが、本研究では様々な癌由来の培養細胞を用いてそのメカニズムの解明およびインターフェロンγにより細胞増殖が抑制される細胞を見分けるマーカーの選定を目指している。 2023年度は先行研究で検討したものも含め、現在までに検討した細胞株のデータ解析を主に行った。先行研究も含めて検討してきた細胞株のうち、インターフェロンγによる細胞増殖抑制効果を示した(感受性を示す)細胞株は5種類(乳癌由来培養細胞株 4種類、肺癌由来培養細胞株 1種類)であったが、細胞周期解析や細胞周期およびJAK/STAT系シグナル伝達に関与する遺伝子の発現解析ではいずれも感受性細胞間で共通した変化を見出せなかった。さらにインターフェロンγレセプターの発現については、イメージサイトメーターでの評価基準がまだ確定できていないため、公開されているデータベースから使用した細胞株についてのIFNGR1およびIFNGR2の遺伝子発現レベルを調べた。一部データのない細胞株もあったが感受性のある細胞株間でも発現レベルに差があり、また感受性のない細胞でも感受性細胞と変わらない発現レベルのものもあった。まだ我々自身が実験によるインターフェロンγレセプターのたんぱく発現解析の途中ではあるが、このデータからはインターフェロンγ受容体がインターフェロンγに感受性のある細胞を見分けるマーカーにはなりえない可能性もあることが考えられ、マーカー選定も再考する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インターフェロンγによる細胞増殖抑制効果がみられる細胞株を5種類ほど確認できたが、インターフェロンγ投与による各種遺伝子発現の変化に細胞間で一貫性が見いだせず、メカニズム解析に至る研究方針、実験方法を見直す必要が出てきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
インターフェロンγによる細胞増殖抑制効果がみられた5種の細胞株について、インターフェロンγ投与による遺伝子発現の変化が本当に細胞ごとに異なるのかを、再度実験を行い検証すると同時に未解析の遺伝子での発現解析も行い、メカニズムを予想するところまではこぎつけたい。またインターフェロンγ受容体のたんぱくレベルでの解析系を早急に確立し、データベースでの遺伝子発現データとの比較を行い、インターフェロンγ受容体がマーカーになりうるかどうかの結論を得たい。
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Causes of Carryover |
本年度は主に今までのデータの見直し、解析に注力したことと、研究室の人員減少に伴う研究外業務の増加に伴い、連日行う必要がある細胞増殖実験が難しくなり実験が十分に行えず、使用する試薬、器具の使用があまりなかったため。
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